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- 年初来でバイオ医薬品株式が出遅れた背景
バイオ医薬品株式の年初来のパフォーマンスは、グロース株が軟調になったことや新型コロナウイルス感染拡大の影響、規制を巡る不透明感の高まりなどを背景に、米国株式に対して出遅れています。ただ、6月に入り米バイオジェンのアルツハイマー症治療薬が承認され、新型コロナウイルスのワクチン接種も進展するなど、年初来、バイオ医薬品株式が出遅れた要因の一部は緩和される可能性があると考えます。
年初来、出遅れているバイオ医薬品株式
2021年年初来のバイオ医薬品株式のパフォーマンスは、6月に入り米バイオジェンのアルツハイマー症治療薬の承認を受けて差を縮めていますが、米国株式に対して出遅れています(図表1参照)。
図表1:年初来のバイオ医薬品株式と米国株式の推移
米ドルベース、日次、期間:2020年12月31日~2021年6月15日
※バイオ医薬品株式:ナスダック・バイオテック指数、米国株式:S&P500種株価指数、いずれも配当込
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
出遅れたいくつかの理由
その背景としていくつかの理由が考えられます。
1つ目は、2021年2月から3月にかけて、米国の長期金利が急上昇し、グロース株が下落した局面で、グロース株の特性を持つバイオ医薬品株式も下落したことです。バイオ医薬品株式の中でも特にゲノム編集技術を有する銘柄など比較的開発の初期段階にあるパイプラインへの期待を背景に買われていた高ベータの中小型銘柄については、2020年から株価が大きく上昇していた反動もあり、株価が大きく調整する結果となりました。
2つ目は、新型コロナウイルス感染拡大による影響です。新型コロナウイルスの感染拡大は、患者が病院に診療に出向くことや手術などの治療を見合わせる動きにつながり高い成長が期待されているバイオ医薬品企業の業績にとってマイナス要因となりました。また新薬開発のための治験の遅れや、承認された新薬の立ち上げの遅れなどの要因にもなり、こちらもバイオ医薬品企業の株価にとって重石となりました。
3つ目は、規制環境の不透明感です。米食品医薬品局(FDA)の長官ポストはバイデン米大統領が指名していないため空席が続いており、FDAにおけるリーダーシップの欠如が懸念されています。FDAの新薬承認などに対するスタンスに不透明感があることなどがバイオ医薬品株式にとってマイナスとなりました。
上記の3つ以外にも、新型コロナウイルスワクチンの知的財産権(IP)の放棄を求められる可能性や米国議会における薬価の議論の再燃、バイオ医薬品企業をターゲットとしたM&A(合併・買収)が低調なことなども、バイオ医薬品株式が株式市場全体に対して出遅れている理由と考えらえます。
出遅れ要因は今後、緩和される可能性
上に挙げたバイオ医薬品株式が出遅れている要因の一部は今後、緩和される可能性があると考えます。
新型コロナウイルスについては、足元、国や地域によって差はあるもののワクチン接種が進んでおり、それに伴い経済活動の正常化も進むことが予想されます。経済活動の正常化により、コロナ禍で控えられていた病院の受診や手術などの治療を受ける動きや、遅れていた治験なども進むことが期待されます。
また、承認されるかどうかで注目を集めていた米バイオジェンのアルツハイマー症治療薬アデュカヌマブが承認されたことは、規制環境に対する懸念を払しょくするきっかけとなり、バイオ医薬品セクターにとってポジティブに働く可能性があると考えます。
薬価を巡る動きについては、今後、進められることは間違いありませんが、急進的なものではなく超党派によるより穏当な内容に落ち着く公算が大きいと考えています。
ご参考:基準価額の推移
日次、期間:2016年2月19日(設定日)~2021年6月16日
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