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インフレ時代の資産運用
森永 康平
2022/02/08

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概要

買い物に行くとお肉の値段やガソリン価格が高いなど、モノの値段が上昇していることを体感します。また、値段は変わっていなくても、内容量が少なくなっているという、いわゆる「実質値上げ」が行われている商品もよく見ます。このようにモノの値段が継続的に上昇していくことをインフレといいますが、今回はインフレ時代の資産運用について考えてみましょう。



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日本もインフレに突入か

世界的にインフレが問題となっており、米国の11月の消費者物価指数は前年同月比+6.8%と39年ぶりの上昇率を記録し、ドイツの11月の消費者物価指数も同+5.2%と約30年ぶりの上昇幅を記録しました。日本の11月の消費者物価指数は同+0.6%と各国に比べると低水準にあると思うかもしれませんが、菅政権時(21年4月)に携帯電話の通信料金が大幅に値下げされ、その後も断続的に値下げが行われたことにより、日本の消費者物価指数は実態よりも弱くデータが表れてしまっているため、仮に携帯電話の通信料金の引き下げがなければ、日本でも消費者物価指数は発表されている値よりも1.5%ほど高くなっていたと考えられますから、インフレに突入したと見ています。

欧米各国はインフレに対応するためにテーパリング(金融緩和の縮小)を開始し、今年は政策金利の引き上げもすると予想されていますから、日銀が利上げをしなければ金利差が拡大し、円安が進行する可能性が高まります。そうなれば輸入価格が上昇するので、更に国内における物価上昇圧力が高まると考えられます。

 

インフレ下での投資手法とは?

それでは、インフレ下ではどのような投資をすればいいのでしょうか。一般的にインフレ下では現金を持っていると価値が目減りするといわれます。これは言葉で聞くとよく分からないと思いますので、簡単な例をみてみましょう。

たとえば、今年はパンの値段が1個50円、来年は1個100円に値上がりしたとします。1年で値段が倍になるのは極端な例ですが、分かりやすくするためなのでお付き合いください。そうすると、今年は100円で2個買えたパンが、来年は1個しか買えないということになります。100円というお金の額は変わっていないのに、買えるパンの数が減ってしまったということは、つまり現金の価値が目減りしたといえるでしょう。

このようにインフレ下では現金や預金として持っているよりも、資産の一部を投資に回すことが推奨されることが多く、その対象は株や債券だけではなく、金や不動産などの実物資産も対象となります。

 

金融商品の活用

とはいえ、個人投資家にとって、株はまだしも債券や金への投資というのは馴染みがないかもしれません。また、不動産投資も必要な金額を準備できないという方も多いでしょう。そのような時に活用してほしいのが投資信託です。たとえば、一般的に日本株は100株からしか投資ができないため、株価が1,000円の株であれば10万円からしか投資ができません。投資をする際に1つの企業の株に集中投資をするのは危険ですから、複数の企業の株に分散投資をするのが望ましいのですが、そうしようとすると、やはり株式投資でもそれなりのまとまった金額が必要となってしまいます。

その点、投資信託であれば1,000円からでも投資ができますし、日経平均に連動する投資信託を買えば、その時点で225社の株に分散投資をすることにもなります。投資信託には金や不動産に投資をしているものもあるため、手軽にこれらの資産にも投資をすることが可能です。

個人投資家が投資信託を活用して資産運用をする場合、つみたてNISAを利用するケースが多いですが、つみたてNISAの対象となっている投資信託のなかでは金や不動産へ投資しているものはなく、一部バランスファンドが用意されているだけですから、つみたてNISAで株式や債券へ投資をするタイプの投資信託を買い、一般口座で金や不動産投資信託を買うなどの使い分けをしてみてもいいかもしれません。

森永 康平
株式会社マネネCEO
経済アナリスト

証券会社や運用会社にてアナリスト、ストラテジストとして日本の中小型株式や新興国経済のリサーチ業務に従事。
業務範囲は海外に広がり、インドネシア、台湾などアジア各国にて新規事業の立ち上げや法人設立を経験し、事業責任者やCEOを歴任。現在は複数のベンチャー企業のCOOやCFOも兼任している。
​著書に『親子ゼニ問答』(角川新書)
日本証券アナリスト協会検定会員。


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