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- 盛り上がる“リベンジ消費” 中国で今何が起こっているのか? <萩野琢英 × 塚本卓治>
マーケットを知り尽くしたプロが多様なトピックを語り合う動画コンテンツ「Pictet Market Lounge」。萩野琢英と投資戦略部長の塚本卓治が、盛り上がる中国のリベンジ消費と金について語りました。
以下は二人の対談の中で触れられたトピックです。
- 宝飾品や中央銀行、投資といった需要が金価格の動きに大きな影響を与えている。
- 2020年は宝飾品や中央銀行による金の需要がやや停滞した一方、投資需要が牽引したが、年後半には高値更新の影響もあり投資需要が大きく低下した。
- 短期的には投資需要の影響を受けるものの、金需要の大きな部分を占める宝飾品需要の回復は、リベンジ消費という形で現れてくるかもしれない。
“需給”がポイントとなる金相場の先行き
昨年、上昇基調を辿った金価格だが、足元ではもみ合いが続いている。この金価格の先行きを考える上では需給が重要になる。
ここ数年は、投資需要としての金が価格を押し上げてきた面がある一方、昨年は全体の需要の中心的な存在である宝飾品需要が停滞してしまった。
中国とインドで宝飾品需要が急減した2020年
通常だと全体で2,200トン程度の宝飾品需要があるところ、昨年は34%減少した。金の宝飾品需要の約半分は、中国とインドが占めている状況だが、その需要が急減したのが2020年だった。
需要が急減した主な要因は、①新型コロナウイルス感染拡大の影響、②金価格上昇に伴う買い渋りを挙げることができる。
中国では今「リベンジ」消費が盛況
コロナの影響で落ち込んだ金需要だが、昨年の4-6月期を底に回復基調を辿っている。こうした中、中国ではこうした動きが他の消費にも現れており、落ち込んだ反動で回復していることから「リベンジ」消費とも言われている。そして、リベンジ消費の対象には、ブランド品や時計などの高額品も含まれている。
インドはどうか?
インドでは例年、大規模な祭りが行われる秋頃や婚礼に伴う宝飾品需要が注目材料だと言える。昨年は、4-6月期の底から戻り基調にあったとはいえ、対前年比で7-9月期の金の需要はマイナス水準にあった。また、婚礼はコロナの影響で延期されもあった。過去の落ち込みの反動がどのような形で金の需要に影響を与えるかは注目だ。
2020年7-9月に中央銀行は「金」売り越し
金の購入主体としては中央銀行の動向にも注目したい。昨年7-9月に金が高値を伺う局面で中央銀行が金を売り越す動きが見られたが、2011年にも同じように高値を伺う局面での売りの動きが見られた。ただ、昨年10-12月には回復の動きを見せている。
「宝飾品需要」と「中央銀行需要」は回復傾向
これまでの議論から見えてきた点を総括すると、金に対する宝飾品需要も中央銀行による需要もともに回復の動きを見せていると考えられる。では、高値更新に伴う投資需要はどうなのだろう。
2020年10-12月「投資需要」が減少
宝飾品需要や中央銀行による需要が回復しつつある中にあって、昨年10-12月に金価格が低下した。この背景にあるのは、投資需要の減少であったと考えられる。
「投資需要」のインパクト
過去11年間のデータを見ると、金の投資需要は、需要全体の1割程度となっている。2019年夏以降に金利が低下してくる局面では、投資需要は高まっており、例年に比べても高い水準で買いが進んでいた。宝飾品需要などが回復しつつあったとはいえ、高まっていた投資需要が高値更新もあり急速に低下したことが、昨年10-12月に金価格が下落した要因になったと言える。
「株式」と「金」は違う方向に動く傾向
これまでの経験では、株式が上昇する局面では金価格が低下し、株式が下落する局面では金価格が上昇するという動きを見ることが多かった。昨年末はこうした傾向が当てはまっていたが、年明け以降の金価格は上下に動きながらやや横ばい気味となっている。
「宝飾品需要」にリベンジ消費の追い風
この1-3月に落ち込んでいた宝飾品需要が戻ってくるかはまだ分からないが、金の需要の中でも大きな割合を占めるこの宝飾品需要が、戻ってくるかは注目する必要がある。
「中央銀行需要」その目的は“通貨分散“
今後、中央銀行が金を購入する動きは続く可能性もあると考えており、その中でも大きな理由は通貨分散だと言える。各国中央銀行が、通貨の供給量を増加する中にあって、外貨準備高に占める金の保有量を確保しておきたいという思惑があると考えられる。
今後の見通し~まだ織込まれていない材料に注目~
金の需要の約半分を宝飾品需要が占めているが、この宝飾品需要は金価格が下落する時に高まる傾向がある。宝飾品需要の回復というストーリーは、現在の市場では織り込まれていないと考えられる。宝飾品需要は新興国を中心に出始めているので、この回復具合が金価格の動向にも影響を与えるであろう。
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