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- 公益株は出遅れ?~短期でみるか、長期でみるか
世界公益株式の世界株式に対する足元の出遅れは、①世界公益株式が利益確定で売られやすかったこと、②コロナショックによるテレワーク拡大などの恩恵を受ける業種により注目が集まったこと、③下落率の高かった業種がより大きく反発したことなどが要因として考えられます。感染拡大第2波や米中摩擦の再燃などの懸念高まりは今後再び公益株式が注目される要因になるとみられます。
基準価額は、3月にボトムを打った後、変動を繰り返しながらも上昇
世界の株式市場は、2019年以降堅調に推移してきましたが、新型コロナウイルス感染拡大を背景に2020年2月をピークに大きく下落しました。こうしたなか、当ファンドの投資対象である、世界公益株式も大きく下落し、当ファンドの基準価額も下落しました。その後3月にボトムを付けた後、各国の政策発動や、感染拡大ペースの鈍化などを背景に、3月下旬に上昇に転じ、変動を繰り返しながらも上昇しています。
3月のボトムからみると世界公益株式は出遅れ
2020年3月23日の世界株式のボトムから直近5月29日までの動きを業種別に比較すると、当ファンドの主な投資対象である世界公益株式は25.1%と大きく上昇してはいるもの、世界株式の30.5%よりも小幅な上昇率に留まっています。
ボトムから直近までの上昇率が高かった業種は、エネルギーや素材などの年初から3月23日のボトムまでの下落率が比較的大きかった業種やコロナウイスル感染拡によるテレワーク拡大の恩恵が期待される情報技術(IT)や治療薬やワクチンの開発が期待されるヘルスケアなどでした。
一方、年初からボトムまでの下落率が相対的に小さかった公益事業や生活必需品などは、大きく上昇はしたものの、他の業種と比較すると上昇率は小さくなりました。
より長いトレンドでみてみると、アウトパフォーム
もう少し長いトレンドでみてみると、2018年末にかけて、①米国の利上げ、②米中貿易戦争に対する懸念、などの外部環境が厳しさを増すなか、これまで市場をけん引してきた情報技術(IT)セクター銘柄などをはじめとした主要企業が相次いで失望的な決算を発表し株式市場が大きく下落し、その後も金融市場の不透明感が高まりました。
こうしたなか、世界の公益株式はそのディフェンシブ性や相対的に高い配当利回りが注目され、情報技術セクターや世界株式をアウトパフォームしてきました。
その後、新型コロナウイルス感染拡大による懸念の高まりから今年2020年3月下旬かけて、あらゆる資産が急落し、世界公益株式もそのディフェンシブ性にもかかわらず、換金売りにさらされ大幅下落しました。その後、各国の政策発動や、感染拡大ペースの鈍化、都市封鎖の解除などに伴い、株式市場は大きく回復しています。
公益株式の足元の出遅れは、①公益株式がこれまでアウトパフォームしてきたため利益確定で売られやすかったこと、②コロナショックによるテレワーク拡大などの恩恵を受ける業種により注目が集まったこと、③下落率の高かったエネルギーセクターなどが大きく反発したことなどが要因として考えられます。
米中摩擦や感染拡大第2波の懸念の高まりで公益株式のディフェンシブ性が注目か
世界公益株式の世界株式に対する相対的な動きでみると、世界公益株式は、世界株式に対して2020年3月下旬以降アンダーパフォームしているのがよく分かります。また、他の業種と比較すると世界情報技術(IT)株式などに対してのアンダーパフォームの幅が大きくなっています。ただ、ここ足元では、再びアウトパフォームの兆しがみられます。
今後の株式市場を考えるうえで重要な変化がみられます。5月28日には中国は「国家安全法導入」の制定方針を決定し、外国勢力が香港に干渉することに断固反対し必要な措置をとって反撃すると発表しました。これに対して、29日にはトランプ米大統領は、香港に対する優遇措置を撤廃する方針を表明しました。こうした米中の対立が高まるなか、両国の貿易摩擦の激化や、米ドランプ政権による中国の通信大手、華為技術(ファーウェイ)に対する輸出規制の強化などによるマイナスの影響への懸念が再び高まっています。
コロナウイルスの感染拡大第2波も懸念されるなか、こうした米中問題が悪化した場合には、様々な企業の業績悪化が懸念されます。しかし、世界の公益企業の業績は、貿易摩擦や成長企業への圧力の直接の影響をうけにくく、その業績の安定性(ディフェンシブ性)が再び注目されることも考えられます。現在、世界株式全体では減益見通しとなるなか、公益株式の利益、配当見通しはプラスを維持しています。
(2020年4月30日発行の「Q.需要減少による収益見通しへの影響は?~マイナスの影響少ない」、2020年5月28日発行の「コロナショックに相対的に強い公益銘柄に注目」をご参照ください)
また、株価の調整や金利の低下を背景に配当利回り面での相対的な投資魅力も高まっています。
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