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2021年3月のバイオ医薬品市場
2021/04/23

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概要


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バイオ医薬品関連企業の株価動向

3月のナスダック・バイオテック指数(ドルベース、配当含まず)は下落しました。

3月の株式市場では、長期金利の上昇を背景に成長株(グロース株)から割安株(バリュー株)への資金シフトが鮮明となり、グロース株が低調となった一方、バリュー株は好調となりました。バイオ医薬品セクターについても同様の展開となり、株価収益率(PER)が(相対的に)低い大型株のリターンが中小型株のリターンを上回りました。市場外の要因では、連邦取引委員会(FTC)がバイオ医薬品セクターの大型M&A(合併・買収)案件の調査を開始したことや、バイデン政権の「インフラ投資計画」を受けて、薬価設定を巡る議会での議論が再燃しました。

株価が大きく上昇した銘柄としてはインテリア・セラピューティクス(米国)などが挙げられます。インテリア・セラピューティクスは、同社トランスサイレチン蓄積アミロイド症(ATTR)治療プログラムが欧州医薬品庁から希少疾病用医薬品指定を受けたことが好感されました。

株価が大きく下落した銘柄としてはケモセントリクス(米国)、モデルナ(米国)、イルミナ(米国)などが挙げられます。ケモセントリクスは、米国食品医薬品局(FDA)に申請中の抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎治療薬の承認に諮問委員会の審査が必要となる可能性があることが発表されました。諮問委員会の審査は標準的な手続きにすぎませんが、足元では、審査の結果、承認が得られなかった案件が続いたことから、投資家に動揺が広がりました。モデルナは、グロース株からバリュー株への資金シフトが進む中、株価が下落しました。イルミナは、同社によるグレイル(米国)の買収計画に対し、FTCが買収差し止めを請求したことが伝えられ、株価が下落しました。

今後のバイオ医薬品市場見通し

バイオ医薬品セクターについては、短期的には新型コロナウイルスの感染動向とワクチンの動向に注目が集まっています。一部の製薬企業やバイオ医薬品企業は引き続き新型コロナウイルスの治療薬やワクチンの開発を急ピッチで行っています。ワクチンの良好な治験結果や各国政府によるワクチン接種はすすめられており、現在は生産能力などのボトルネックに注目が集まっています。

現在、医薬品に関連する医療費の議論で重要な転換が起こっています。いくつかの国では治療の有効性に応じて医療費を支払う制度(価値に基づく医療)が利用されていますが、処方薬で最大のマーケットである米国においても、従来の出来高払い方式ではなく、同様の制度を求める声は、ますます大きくなっています。

医薬品企業と同様に政府、規制当局、保険業者は、医薬品の開発においてイノベーションを抑制することなく、医薬品の費用を効率的に管理することができる妥協案を見つけることを必要としています。最も重要な利害関係者である患者は、破産のリスクにさらされることなく、高品質の治療を受けたいと考えています。これは、治療薬の開発といった科学的側面だけでなく、ビジネスモデルや先進的な思考、価値に基づいた契約といった側面においてもイノベーションを生む最高の機会となると考えます。


バイオ医薬品関連企業の売上高は相対的に高い伸びが見込まれる

バイオ医薬品関連企業の売上高は、新興国の企業を上回って堅調に成長してきました。(図表6参照)

バイオ医薬品関連企業については、①有望な治療薬候補の良好な治験結果の発表、②大型の新薬の承認、③新薬販売開始後の業績寄与の拡大などを背景に、米国企業や日本企業よりも相対的に高い売上高の伸びが見込まれています。(図表7参照)

売上高の伸びに沿って株価も上昇

過去の実績では、バイオ医薬品関連企業の株価は、売上高の伸びとともに上昇してきたことがわかります。(図表8参照)

バリュエーション

足元、新型コロナウイルスの治療薬およびワクチン開発・認可・接種への期待やバイオ医薬品企業の業績が景気動向に左右されにくい特性などが注目されて株価が上昇しており、PSR(株価売上高倍率)で見たバリュエーション(投資価値評価)の水準も上昇しています。(図表9参照)

個別の銘柄・企業については、あくまでも参考であり、その銘柄・企業の売買を推奨するものではありません。


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