- Title
- プロから学ぶ投資の基本 BASEシリーズ 株式編①
Pictet Theatre LIVE(2020.12.17 Thu.)
Pictet Theatre LIVEは、経験豊富な投資のプロが語る最新情報を、オンライン・オフライン両方でご提供するハイブリッド型資産運用セミナーです。※現在はオンライン配信のみとなっております。
資産運⽤コンサルティング本部⻑ 北根 久之より、実際のマーケットを説明できることを目的に、わかりやすく資産運用の基礎を解説するセミナーです。
投資の基礎知識を学んで始めてみようという方や、本などで学んだ内容と実際のマーケットとの矛盾を感じている投資の経験がない方もぜひご覧ください。
視聴者のみなさまから頂いたご質問について、スピーカーがお答えさせていただいております。
なお、すべてのご質問にお答えできない場合もございますことを何卒ご了承ください。
(注1)お客さまからいただきましたご質問ついては、ご質問が多かったものを中心に掲載しております。
(注2)特に記載のない場合、ご質問への回答は本FAQの掲載日時点の見解です
まず、残余資産がマイナス(=債務超過)となった場合、すぐさま会社が倒産するというわけではありません。債務超過状態のまま会社が存続し続けるケースもありますし、債務超過でもなく黒字であるにも関わらず倒産するケースもあります。倒産というのは、支払わなくてはならない債務を期日に支払うことができない「支払不能」に近い概念であり、債務超過であっても、次々に到来する債務の支払いをあちこちからお金を借りてきて支払っていくことができれば、倒産しないということになります。一方で、融資をする銀行などの側から見ると、債務超過状態の企業に対する融資には慎重にならざるを得ません。たとえお金を貸しても、すぐに別の債務のための調達が必要となり、その債務が支払えず倒産となってしまう可能性があるからです。
これらのことから、企業は債務超過状態で倒産するケースが多いのです(銀行からお金を借りることができなくなって支払不能になる=倒産する)。ご質問の負債金額の処理についてですが、企業の倒産時の処理は「再生」か「清算」のどちらかとなります。つまり、出直すか、商売をたたむか、です。再生するにせよ、清算するにせよ、債務超過状態であれば会社の全資産を処分しても負債の全額を返済することはできません。すると、負債の一部のみを返済し、残りを棒引き(一部免除)してもらったり、支払猶予をしてもらうことになります。その整理の仕方には「私的整理」と「法的整理」があります。前者はうまくいけばスピーディーに進む可能性がありますが、債権者全員の合意が必要なため、調整が難しければいくらでも時間がかかってしまう可能性もあります。後者は債権者全員の合意が難しい場合に裁判所が判断して法的な強制力をもって執行するため、当事者間での利害調整や合意が不要ですが、コストと時間がある程度かかってしまいます。これらの整理では、残った資産でそれぞれの債務をどういう優先順位でどれだけ返済するかを決定し、再生または清算をします。
債務のうち何%を返済するかを弁済率と言いますが、大型倒産が相次いだ2010年の日本航空の破綻では弁済率が12.5%、武富士は弁済率3.3%、日本初のペイオフ発動となった日本振興銀行は弁済率60.96%でした。また、最近の大型倒産例で2017年のタカタの場合はいまだ決着がついておらず弁済率は1%程度になると見込まれています。