寄付から見える道府県の活動 -事業担当者様の想いを訪ねて-
ミライ・プロジェクトにおける、寄付先事業担当者にインタビューを行いました。実際に事業を運営する上での思いや、活動下におけるエピソードを語ります。
Interview
埼玉県福祉部こども支援課 こどもの居場所担当
佐々木 牧人さん
埼玉県「子ども食堂応援プロジェクト」
Q1.当社が寄付している子ども食堂応援プロジェクトについて教えてください。
埼玉県には「こどもの居場所」が約630ヶ所あり、そのうちこども食堂の数は約450ヶ所(令和5年3月末現在)。本プロジェクトでは、令和6年度末までにこどもの居場所の数を800ヶ所に増やすことを目指しています。これは県内小学校区の数に相当し、こどもが安全に歩いて通える距離にこども食堂や学習支援の場、プレーパークなどを作ることを推進しています。
埼玉県の生活困難層の割合は9.3%(平成30年度調査)。まずはこどもの貧困を社会問題として受け止めてもらう必要があると考え、SNSやこども応援ネットワーク埼玉というサイトを開設し、県民の方や市町村、企業などに広く現状を知ってもらうことから始めました。
Q2. プロジェクトでは、「こどもの居場所づくりアドバイザー」を派遣しています。
埼玉県の強みとして、こどもの居場所づくりに関する専門家をこどもの居場所づくりアドバイザーとして派遣し、こどもの居場所の立ち上げや継続的な運営を支援する制度を設けています。
こども食堂を既に実践されている方や、広報、衛生管理の専門家、さらには税理士など様々な分野の経験、知識、ノウハウをお持ちの方を派遣しています。その他、立ち上げを支援するためのツールとして、スタートブックや活動事例集を制作し、配布しています。
Q3.こどもの居場所をさらに増やすために、どのような取り組みを行っていますか。
県内でこどもの居場所を周知するフェアを開催しています。認知拡大や担い手の発掘に加えて企業と運営者のマッチング支援も行っており、こうした活動を通じて増加につなげたいと考えています。また、地域内のネットワークづくりも支援しており、食材を保管する倉庫を共同で管理するなど、相互扶助の関係を後押しすることで、継続的な運営を支援しています。
Q4.プロジェクトを進める上での課題は。
これまでこどもの居場所の数を増やすため、新規立ち上げを支援してきましたが、運営を続けることの難しさを感じています。こども食堂であれば食材、開催場所、倉庫の確保といった問題があり、資金や人手が不足しています。継続性が今後の課題だと捉えています。
Q5.企業や個人からの寄付金はどのように活用していますか。
埼玉県に寄付頂いた資金はアドバイザーの派遣や、支援者と運営者のマッチング・ポータルサイトの運営、イベント開催の費用などに活用しています。居場所団体の皆さんの熱意や自由な発想を行政が邪魔することのないよう、県がこどもの居場所の運営に関わりすぎないことが大切であると考えています。そのため、こども食堂への直接的な運営費の助成は行っておらず、後方支援としてサポートしています。
Q6.こどもの居場所に対する印象をお聞かせください。
美味しい食事を届けたい、多くの人に提供したいなど、運営者それぞれの理想があり、同じものは一つもないと感じています。共通しているのは、こどもたちに少しでも幸せになってほしいという想い。こどもにとっても、家でも学校でもない場所は楽しい空間なのだと思います。誰でも安心して来られる居場所として今後も広がっていくことを期待しています。