Prix Pictet 2008 - 2018
10th Anniversary Special Page
未来への希望
2008年の金融危機の最中、サステナビリティ(持続可能性)をテーマにした写真賞、Prix Pictetを立ち上げるということが、正しいことなのか疑問を持ちました。世界の金融システムの根幹が脅威にさらされていたのですから。
Prix Pictetの立ち上げ後、サステナビリティ –特に環境におけるサステナビリティ– は21世紀において人類が直面する大きな課題になっています。また金融危機以降は、単に利益を生み出すだけではなく、より幅広い責任を担う必要性に私たち自身が気づくことが重要でした。お客様、社会、そして私たちが働き生活を営むより広い世界に対する責任です。
Prix Pictetの開始から10年がたちます。この10年はスマートフォンの時代で写真はほとんどの人に選好される表現手段となりました。そして写真は今までになくアートとして認識されつつあります。加えてPrix Pictetは記録写真やフォトジャーナリズムと概念や芸術写真の間にある間違ったバリアを打ち砕くことに一役買っていると評価する人もいます。
私たちはパートナーとしてピクテの名の下にこれまで達成してきたPrix Pictetの成果を誇りに思っています。一方でサステナビリティの問題はこれまで以上に深刻だということも認識しています。2019年の8回目は「希望」をテーマとし、引き続き責務を果たしてまいります。
多くの類まれな才能ある写真家たちの参加、そして立ち上げ当初から無償で提供された世界中の人々や機関・団体による善意や実践的なアドバイスまたは具体的な支援がなければ、何も成し遂げることはできなかったでしょう。ここで名を挙げるにはその数は多すぎ、その皆様の貢献に関しては2018年刊行の「ten」にて彼らの貢献に祝意を述べさせていただきました(8-9ページ)。
新たな決意、新たなアイデアそして次の10年への希望を抱きPrix Pictetを引き続き推進する所存です。
ピクテ・グループのパートナーを代表して
ニコラ・ピクテ(Nicolas Pictet)
2018年刊行のPrix Pictet 10周年を記念した写真集「ten」より
世界41都市で開催された93の展覧会
水
パリ / ドバイ / テッサロニキ / ロンドン / 香港 / アイントホーフェン / ドレスデン
地球
パリ / テッサロニキ / ドバイ / アイントホーフェン / ダブリン / ロンドン / ボン / モスクワ / ベルリン / ミラノ / マドリード / ニューデリー
成長
パリ / テッサロニキ / チューリッヒ / ミラノ / デュッセルドルフ/ マドリード / ワシントンDC / ダブリン / ベイルート / アイントホーフェン / 香港
力
ロンドン / ミュンヘン / パリ / ブダペスト / イスタンブール / ダブリン / アムステルダム / ベイルート / テッサロニキ / チューリッヒ / テルアビブ / ニューヨーク / サンディエゴ
消費
ロンドン / バルセロナ / テッサロニキ / トリノ / チューリッヒ / ルクセンブルグ / ミュンヘン / メキシコシティ / ドバイ / ブリュッセル / ダブリン / ベイルート / 東京
無秩序
パリ / ロンドン / ローマ / ブリュッセル / ジュネーブ / チューリッヒ / アテネ / 東京 / ダブリン / ハンブルグ / サンディエゴ / バルセロナ
宇宙・空間
ロンドン / チューリッヒ / ルッカ / 東京 / モスクワ / シュトゥットガルト / メキシコシティ / トリノ / ブリュッセル / ローザンヌ / イスタンブール / ニューヨーク / ダブリン
受賞者
ローザンヌ / サンディエゴ / アルル / モスクワ
委嘱作品
ドレスデン / ボン / ジュネーブ / ロシニエール / ロンドン
water
Paris — Dubai — Thessaloniki — London — Hong Kong — Eindhoven — Dresden
earth
Paris — Thessaloniki — Dubai — Eindhoven — Dublin — London — Bonn — Moscow — Berlin — Milan — Madrid — New Delhi
growth
Paris — Thessaloniki — Zurich — Milan — Dusseldorf — Madrid — Washington D.C. — Dublin — Beirut — Eindhoven — Hong Kong
power
London — Munich — Paris — Budapest — Istanbul — Dublin — Amsterdam — Beirut – Thessaloniki — Zurich – Tel Aviv — New York — San Diego
consumption
London — Barcelona — Thessaloniki — Turin — Zurich — Luxembourg — Munich — Mexico City — Dubai — Brussels — Dublin — Beirut — Tokyo
disorder
Paris — London — Rome — Brussels — Geneva — Zurich — Athens — Tokyo — Dublin — Hamburg — San Diego — Barcelona
space
London — Zurich — Lucca — Tokyo — Moscow — Stuttgart — Mexico City — Turin — Brussels — Lausanne — Istanbul — New York — Dublin
laureates
Lausanne — San Diego — Arles — Moscow
commissions
Dresden — Bonn — Geneva — Rossinière — London
ピクテの10年 “写真の世界における爆発”
Prix Pictetは、サステナビリティに関する世界屈指の写真賞です。この賞は、写真の力によって社会や環境に対する国際的な関心を向けることを目的としています。
2008年にピクテ・グループによって創設されたPrix Pictetには、これまで7回のサイクルがあり、毎回ある一つのテーマが設けられます。現在巡回中のサイクルのテーマは「Space(宇宙・空間)」です。ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館で開催された表彰式では、Prix Pictet前名誉会長のコフィ・アナン氏によって第7回目のPrix Pictetの受賞者はアイルランド出身の写真家、リチャード・モスに授与されることが発表されました。
過去6回のこれまでの受賞者は、ベノー・アキン「Water(水)」、ナダフ・カンダー「Earth(地球)」、ミッチ・エプスタイン「Growth(成長)」、リュック・ドゥラエ「Power(力)」、マイケル・シュミット「Consumption(消費)」、ヴァレリー・ベラン「Disorder(無秩序)」です。第8回目のテーマは「Hope(希望)」で、受賞者には100,000スイスフラン(約1,100万円)が授与されます。
第7回目のPrix Pictetにはおよそ4,200名の写真家のノミネートがあり、40都市で90を超える展覧会が開催されました。それらの展覧会には延べ50万人近い人々が訪れています。今後のPrix Pictetの展覧会に関する情報や資料はPrix Pictetのソーシャルメディア及び、ウェブサイトprixpictet.comをご覧下さい。