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- 新興国投資編(13)新興国の成長の恩恵を投資で受けるとは?債券編
債券投資から得られるリターンはインカムゲインとキャピタルゲインですが、新興国を含めた海外の債券に投資する場合は為替レートが変動することで得られるリターンが加わります。新興国の債券に投資をした場合のリターンや注意事項について確認していきましょう。
相対的に金利が高い新興国
債券投資から得られるリターンはインカムゲインとキャピタルゲインですが、新興国を含めた海外の債券に投資する場合は為替レートが変動することで得られるリターンが加わります。もちろん、為替が逆方向に動いた場合にはマイナスのリターンとなりますので注意が必要です。日本は低金利が続いていますが、海外には新興国を中心に相対的に金利が高い国がまだあります(図表1)。
新興国の高成長は、人口が増え続けていることに加え、もともと1人当りGDPが低いためにインフラ投資などによる経済効率向上効果が非常に高いことが理由として考えられます。
経済成長率が高ければ、企業は高い金利を払ってでもお金を借りて新しい工場を建てたり、新しいお店を開いたりすれば、もっと利益が増えると期待するため、資金需要が発生します。よって、新興国は先進国に比べ相対的に金利が高い傾向にあります。
債券投資のリターン(ブラジル)
それではブラジル国債を例に実際のリターンを見てみましょう(図表2)。指数データが遡れる2012年10月末から投資を行ったとします。
まず現地通貨ベースのリターン(赤)ですが、約8年間で140.3%上昇しています。変動要因の内訳を見ると、債券の価格変動要因(水色)も債券のインカム要因(緑)もプラスに寄与しています。インカムの積みあがりに加え、債券利回り(灰色)低下によるキャピタルゲインも大きかったことが分かります。
債券投資は時間をかけて利金を積み上げることが基本の投資です。このように債券利回りが高い状態から投資をスタートすれば、大きなインカムゲインを得られ、利回りが低下すれば債券価格の上昇も期待できます。
次に円ベースでのリターンを確認します(図表3)。円ベースでの投資リターンは18.2%と、現地通貨ベースのリターンに比べ大きく低下しました。この期間、ブラジルレアルの対円レート(橙色)は50.5%も下落しており、為替要因はマイナスに寄与したことが分かります。
円預金金利よりも高い利回りを得ようとする場合、引き換えに何らかのリスクをとることになります。しかしながら、とるリスクの大きさと利回りのバランスがとれていれば、短期的にはリスク要因によって損益がブレたとしても、中長期的にはリスク要因による損失を上回るほど利金が積み上がってトータルでプラスになることが期待できます。
なお、投資信託であれば信託報酬等、実際の投資においてはコストや税金等も考慮する必要があります。
債券投資のリターン(分散投資)
次に新興国の債券に分散投資をした場合として新興国債債券指数のリターンを確認してみましょう。こちらの指数にはポーランド、メキシコ、インドネシア、ブラジル等の新興国が採用されています。
2002年12月末から約18年間のリターンを見ると現地通貨ベース(緑)で325.7%の上昇でした。円ベース(赤)のリターンは173.8%でした。債券利回り(灰色)が低下していることで、現地通貨ベース、円ベースともプラスのリターンとなっていますが、リターンの差は為替の影響が大きかったことがわかります。新興国への投資では、経済成長を反映した通貨の上昇も期待できますが、この期間では残念ながらマイナスになりました。
新興国債券への投資では、このような為替変動リスクに加え、債券投資のリスク(金利変動リスク、信用リスク)、カントリーリスクなどがあります。これらのリスクを低減するために分散投資を行い、とるリスクの大きさと利回りのバランスをとることで、長期投資で十分なリターンが得られる可能性があります。
単一の高金利国の債券に投資した方が高いリターンが得られるという考え方もありますが、このレポートの初回でお伝えしたようにご自身のお考えにあった投資先を選んでいただければ幸いです。
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