スマートシティ

スマートな投資機会「都市化」

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都市化は、インフラを逼迫し、環境への負荷が高まる要因になり得ます。都市がより発展していくためには、高い効率性や企業部門との密接な連携が必要です。


本ページは2018年10月にピクテ・アセット・マネジメントが作成したレポートをピクテ投信投資顧問株式会社が翻訳・編集したものです。



都市は、地球の地表のわずか2%を占めるに過ぎません。しかし、都市には、世界の人口の半数以上が居住し、全経済生産の80%を生み出している側面があります。そして、都市を中心とした拡大は、インフラや資源、環境を圧迫する要因になります。注1

幸いなことに、未来の都市の計画や建設に責任を持つ人々は、すでにこの課題に挑戦しています。都市をより安全で、より持続可能で、よりつながりのあるものにするために、各国当局は、これまで以上に民間企業との緊密な連携を図っています。


注1:World Bank “Urban development overview” June 2018



世界の都市数の推移

出所:United Nations; urban settlements defined as settlements with population of 300,000 or more.

これは地球にとって良いニュースだと言えます。

また、投資家にとっても朗報です。なぜなら、スマートシティの出現は、都市開発に貢献するさまざまな企業にとって重要なビジネスチャンスを生み出すからです。

実際、世界経済は年間3%程度しか拡大していませんが、都市化に関連する企業には、年間15%以上の収益成長の可能性があるともされています。注2

政策面でも、スマートシティへの移行を支持する動きが強まっている。例えば、「スマートシティ」の開発は、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の中心となっています。SDGsの11個目の目標「住み続けられるまちづくりを」において、国連は「都市を包括的で、安全で、弾力性があり、持続可能なものにする」ために、2030年までの都市への追加投資を具体的に求めています。注3


注2:Arthur D Little “Smart cities – turning challenge into opportunity” 2016
注3:UN 2015



シティグループによる試算では、これだけでもインフラや住宅、教育、健康、レクリエーション、建物などに年間約2.1兆ドルの投資が必要になるとされています。注4

ピクテでは、このような動向を受けて、都市化の波に乗ると思われる企業への投資を目的とした戦略「スマートシティ」を開発しました。 

戦略の中では、スマートシティにおける活動領域を「都市をつくる」「都市を運営する」「都市に暮らす」という大きく3つに分けています。


注4:Citigroup 2018



都市をつくる

住宅、オフィス、学校、レジャーセンター。人々が集まれば、より多くの建物を必要となります。ここでの課題は、効率的かつ持続可能な方法で、こうした建物の設計や計画、建設、資金調達することにあります。

中国とインドだけでも、年間28億平方メートルの新たな住宅・商業スペースが必要とされています。注5 こうしたことから、省スペース化や都市の無秩序な拡大を減らすために、より高層の建物が建設されていますが、従来の超高層ビルは建設や運営の面であまり環境に優しくないため、最終的なコストも高くなってしまいがちでした。

人々が建物に求めるものも、テクノロジーや人口動態の変化にあわせて進化していきます。例えば、「IoT(モノのインターネット)」の台頭により、インターネットに接続されるデバイスの数は2020年までに世界で250億台に達すると予測されていますが、こうした動きはインターネットの需要を促進します。注6 同様に、世界の人口が高齢化し、都市部の人口密度が高まるにつれ、エレベーターなどに対する需要が高まることも予想されており、エレベーター市場の規模は、2015年の890億ドルから2021年には1,250億ドルに成長すると予測されています。注7


注5:McKinsey “Urban world: mapping the economic power of cities” 2011
注6:Gartner February 2017
注7:Statista 2018



都市を運営する

都市の経済成長の60%は人口増加、40%は労働生産性の向上によるものだとされています。注8 都市を効率的に運営するためには、交通や水、エネルギー、廃棄物管理のインフラ、物流施設、医療から教育に至るまで、幅広い公共サービスが必要になります。大気汚染との戦いもまた、大都市にとっての優先事項です。特に中国では、人口の増加に伴い、廃棄物処理が大きな問題となっています。

それゆえに、都市を円滑に、そして持続可能な形で運営・支援するビジネスには、ビジネス・チャンスがあると言えます。

International Data Corporationによると、2018年にスマートシティ関連の技術に費やされる810億ドルのうち、4分の1近くが固定式の監視システムやスマート屋外照明、先進的な公共交通機関に費やされます。注9


注8:World Economic Forum “Migration and its impact on cities” October 2017
注9:IDC “Worldwide semi-annual smart cities spending guide” July 2018



スマートな都市は、地球と経済にとって良い組み合わせを実現する




これは、最終的に、高速鉄道や自動運転車の実装を意味しているかもしれません。コンサルティング会社のマッキンゼーは、2030年には世界で販売される乗用車の15%が完全に自律走行するようになると予測しています。また、自動車部門の収益は、共有型モビリティ(カーシェアリングや配車サービス)やデータ接続サービス(アプリやソフトウェアのアップグレードを含む)のおかげで、約2倍の6.7兆米ドルに達する可能性があるとしています。注10

消費者の嗜好の変化に伴い、新しいタイプのインフラも必要になってきています。例えば、都市部に住む人々は、現在、オンラインで買い物をすることが増えており、より短い配達時間を期待しています。彼らのニーズに応えるために、現代の都市では、郊外の倉庫に加えて、「ラスト1マイル」を支えるための配送センターが必要となっています。

スマートな都市は、地球と経済にとって良い組み合わせを実現します。経済と気候変動に関するグローバル委員会(Global Commission on the Economy and Climate)の報告書によると、排出量の少ない公共交通機関への投資や再生可能エネルギーの利用、商業ビルの効率化、都市の廃棄物管理の強化により、2050年までに世界全体で約17兆ドルのエネルギーコストを削減できるとされており、通勤時間の短縮やより住みやすい環境が実現されることが明らかになっています。注11

例えば、ロサンゼルスでは、17.3万個のLEDを取り付けることによって、エネルギー使用量を63%削減し、電気料金を年間1,000万ドル抑えています。注12


注10:McKinsey " Automotive revolution – perspective towards 2030” January 2016
注11:The Global Commission on the Economy and Climate “Accelerating low-carbon development in the world’s cities” September 2015
注12:The Climate Group “Driving energy efficiency and city renovation” March 2017



都市に暮らす

最終的には、より効率的な都市を作るのと同じように、革新的な技術を使って人々がより柔軟な形で生活できるように、私たちは都市での生活や仕事のための新しいより良い方法を実現する必要があります。




料理をする時間や手間を減らしたいという都市に住む人々の欲求は、よりヘルシーで簡単な食事にに大きなビジネスの機会を提供しているとピクテでは考えています。米国だけでも、テイクアウトや外食に7,300億ドルが費やされており、これは食費全体の43%に相当します。注13

様々な仕事場の形も成長産業の一つです。世界的には、コワーキングスペース(シェアオフィスなど)を利用する人の数は、2年間で3倍の174万人に達し、2022年には510万人に達すると予測されています。注14

人口動態の変化もまた、新たな需要を生み出しています。例えば、単身者の数が増加しており、住宅ニーズもより多様化(小規模なアパートやシェアフラットなど)しています。

都市部の住宅は狭くなる傾向にあるため、貸し倉庫や駐輪場、様々なシェアリングエコノミーへの取り組みなどの市場が生まれています。また、共働き世帯が増える中で、保育のニーズも高まっています。

このようなサービスを提供している企業にとっては朗報だと言えます。


注13:US Department of Agriculture Economic Research Service 2014 data (latest available data)
注14:Global Coworking Unconference Conference December 2017

世界のスマートホーム市場の規模

単位:10億ドル
出所:A.T. Kearney



スマートさと持続性

これらのイノベーションの多くはすでに存在しています。マッキンゼーは、スマートシティのコンセプトを採用することで、健康や安全性、環境などの主要な生活の質を示す指標を10~30%改善できると試算しています。ピクテでは、効率性と持続可能性が両立する都市の将来にとって、スマートシティを採用し、革新を続けることが極めて重要であると考えています。

そのゆえに、スマートシティには、成長見通しと大きな投資機会があると言えます。将来のスマートシティの構築に貢献することで、その恩恵を受けることができるのではないでしょうか。





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