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- 日経平均の安値目標18,500円、リスクシナリオでは17,000円以下も
年初発表した日経平均株価の年間予想は、高値24,000円(1月)、安値20,000円(12月)と弱気スタンス。足元、安値ターゲットに到達したため、予想レンジを変更する。高値21,000~22,500円(3~4月)、安値18,500円(3月、5~12月)に下方修正した。WHOが3月11日に「パンデミック」宣言をし、東京オリンピックが延期・中止となれば、少なくとも17,000円前後の覚悟が必要となろう。
年初発表した日経平均株価の年間予想は、1月高値24,000円、12月安値20,000円
今年1月5日付けの日経ヴェリタス・4面にマーケット関係者73名の「2020年相場アンケート」において、2020年(2020年1~12月)の日経平均株価の高安レンジと時期を公表した。
具体的には、高値24,000円(1月)~安値20,000円(12月)とピンポイントの予想をした。年間高値を1月の24,000円と予想したのは、時期(1月)、株価(24,000円)共に限界のタイミングとみたためだ。以下、理由を示す。
まず、日本株式の株価が割高と判断したのは、EPSのマイナス成長と割高なPERである。具体的には、EPS(一株当たり純利益)が2018年末から1年以上下落するなか、株価が上昇していた(今後の見通しも厳しい)。PER(株価収益率)は、(一人勝ちの米国よりは割安に見えるが)米国を除く世界先進国株式と日本株式をPER等で比較すると世界の平均レベルでやや割高かつ、過去のPERレンジからみても、株価上昇により、割高なPER14倍台まで上昇していた。
次に、国際政治やマクロ経済の観点からも株価の上昇に限界が近づいていた。日経平均株価は2018年10月(24,400円台)からの米中貿易戦争による関税引き上げ合戦等で同年12月末(19,000円割れ)まで大幅調整した。2019年は年央のG20大阪での米中首脳会談や年末の第4弾の関税引き上げ回避、2020年1月に正式に調印して貿易戦争は停戦した。マーケットは関税が完全撤廃された訳ではないのに好感して株価上昇していたのだ。
今後も米中覇権争いが継続するとみており、地政学的に米中に挟まれた日本に対して楽観的にはなれない。米国は11月上旬に米大統領選挙(11月3日投開票)を控えているため、一時的に停戦しているだけの可能性が高い。米大統領選挙のヤマ場となる秋以降、米中の厳しい局面が再開するリスクも考慮すべきとみている。
コロナショックと原油価格暴落により、安値ターゲット20,000円に到達。予想レンジを変更する
年初からの中東情勢(イラン、和平プロセス)に加え、新型コロナウイルス(COVID-19)による肺炎の中国・武漢から世界的な感染拡大で、景気や企業業績の減速懸念が高まり、「コロナショック」が発生した。加えて、ロシアとの原油の追加減産協議が不調に終ったサウジアラビアが増産姿勢に転じ、供給過剰が懸念により、原油価格(先物)が30%以上急落して、米国株式と日本株式などの世界の株式市場が暴落した。
想定より早く、日経平均株価の安値ターゲットに到達したため、再考して予想レンジを変更する。20,000円をターゲットとしていたのは、通常PBR(株価純資産倍率)1.0倍で下げ止まることが多く、3月9日時点で日経平均株価のPBRは0.9倍となり1.0倍を割り込んだが、TOPIXのPBR1.0倍で株価は一旦下げ止まった。今回のような業績の先行き不透明な時は、PERではなく、PBRが下値抵抗ラインとなったようだ。
予想は高値21,000~22,500円、安値18,500円。リスクシナリオでは17,000円以下も視野に
今回見直した株価予想は、高値21,000~22,500円(3~4月)、安値18,500円(3月、5~12月)。高安のレンジ共に引き下げた。足元(3~4月)は、日米欧の金融政策や財政政策等の期待により、21,000~22,500円程度の短期リバウンドに期待したいが、4月中旬から5月中旬の3月末決算発表には警戒が必要だろう。円高や新型コロナウイルス感染拡大による景気減速懸念により、厳しい業績予想が発表されるリスクがあるためだ。
今後、新型コロナウイルス感染拡大により、パンデミックで医療や物流等に支障をきたし、東京オリンピック・パラリンピックの開催が延期・中止となれば、実体経済の更なる悪化により、日経平均株価は少なくともPBR0.8倍の17,000円前後の覚悟が必要となるだろう。リーマンショックではPBR0.8倍で株価は下げ止まったが、今回も防波堤になれるのか、注意深く見守りたい。
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