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- 企業の気候変動対策を支援する
ライア・ロメロ氏は、自身の会社「Lobelia Earth」を通じて、気候変動対策のための衛星データを使用し、変化する世界のストーリーを伝えています。
“私たちのユニークな点は、チーム、多くの専門分野における知識、そして地球資源の定量化のエビデンスとして観測を利用することについての理解です”
地球を周回する衛星から見える海、土壌、大気の変化など、気候変動による物理的な影響を追跡することは、気候変動対策に取り組む上で重要な分析データです。科学的起業家であるライア・ロメロ氏は、Lobelia Earthの共同創業者兼CEOです。同社は、科学的専門知識、衛星画像、地球表面のデータセットを融合し、大企業やNGOが気候変動に対応できるような情報を提供しています。これは、エビデンスに基づく持続可能な手法を採用していることを意味します。
2022年は世界規模で記録的な猛暑が続き、NOAA(アメリカ海洋大気庁)によると過去143年の中で4番目に暖かい10月となりました。私たちは、地球温暖化による気候への影響をリアルタイムで目の当たりにしています。
Lobelia Earthは、人工衛星から取得したバイオマス、気候、水、土壌、大気、さらに海洋に関する大規模なデータセットに科学的知見を応用するビジネスを行っており、取得した数字やデータのスナップショットを、利用しやすい方法で顧客に届けることができます。ロメロ氏は以下のように述べます。
「つい最近まで、気候というコンテクストで使えるような大規模なデータセットを持っていませんでした」
「現在、私たちは地球の資源について明確にイメージを持っており、企業にとって気候変動に対応した戦略的な意思決定を可能にしています」
簡単に言えば、「科学的な部分とソフトウェア工学的な部分を一つにして、何百万もの人にサービスを提供できる運用サービスを作ろう」という思いが発想の原点だと、ロメロ氏は述べます。
2019年、Lobelia Earthは、同年の国連総会で発足したCoalition for Climate Resilient Investment(CCRI)の一員となりました。これは、自然や気候に関連するリスクの定量化を金融・投資業界、さらには行政やNGOに共有するという、同社の掲げるインパクトベースの目標を発展させる出発点となりました。
アグロフォレストリー活動の追跡、港湾インフラの将来的な拡張、新しい海洋保護区のアセスメントなどは、Lobelia Earthによる最近の仕事の一例です。公共政策や環境サービス、保険会社、医療コングロマリット、インフラ業界のリーディングカンパニーから、国連食糧農業機関、Oxfam、ECMWF(European Centre for Medium-Range Weather Forecasts)まで、さまざまなステークホルダーを顧客としています。
20~25人で構成される小さなチームは、アカデミックな科学のバックグラウンドを有しているため、専門的な分野の開拓を可能とし、顧客に対して行う地球のデータのプレゼンテーションに関しても厚い信頼を得ています。「私は海洋学者として、科学的知見を実際のユーザーのためにどのように応用できるかについて、長い間思いを巡らせてきました」とロメロ氏は言います。ロメロ氏は、このことが会社の成長に大きく寄与していると考えています。「私たちのユニークな点は、チーム、多くの専門分野における知識、そして地球資源の定量化の証拠として観測を利用し、それがより良いマネジメントにつながることを、理解していることです」
「私たちが有するものには非常に高い需要があり、またそれらは非常に特殊で専門的です。そのため、科学的なチームに新たに20人を雇用したとしても、そのチームが1週間以内にスムーズに稼働できるようになるとは思えません」「私たちの仕事の仕方は、密接で協同的なものなので、チームを新たに調整するには時間がかかります」とロメロ氏は説明します。
現在、Lobelia Earthは、「現在の労力で今後も活動を継続できるようにするため、システム開発に労力を集中する」ことに対して、同社の利益をすべて再投資しています。同社は今後5年間、「活動のインパクトを最大化し、より安定した成長のための基盤を築くことができるようなパートナーを見つけ続けること」を目指しているそうです。
会社の拡大という観点では、「商売人と科学者との間には常に緊張関係がある」という事実が成功のカギを握っています。そして、誠実さを保ちながら中間的な立場をとることが、ここでのゲームチェンジャーとなるのです。科学的なプロセスはゆっくりと進むため、サステナビリティの分野で事業を展開する企業にとって、スピードは特に重要な論点になりますが、現実には、環境変化による影響はもっと速いスピードで波及しています。
Lobelia Earthは、COP27に積極的に参加し、その世界的な舞台で率直でバランスのとれたデータを発表することで、気候変動に対する前向きな意思決定においていかにデータが重要であるかを強調しました。また同社は2022年11月にバルセロナで開催された「Smart City World Expo」では、都市部の汚染モニタリングについて、グローバルサミット「Tomorrow Oceans」では、持続可能な海洋生態系について、講演を行いました。
略歴・主な業績
2007年 バルセロナのスターラボにて、地球観測サービスの職に就く
2008年バルセロナ大学海洋物理学研究修士課程修了
2012年 スターラボを退社し、海洋観測を専門とするアルタミラ・インフォメーションに転職
2016年 isardSATの運営・戦略ディレクターとして参画
2018年 Lobelia Earthの共同創業者兼ディレクターに就任
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