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- メキシコ初の女性大統領~選挙戦の後の株価調整は中長期的な投資機会とみる
●選挙後、メキシコ株式、メキシコ・ペソともに大きく下落しましたたが、その後反発しており、下落要因は利益確定の売りの影響が大きく、懸念はすでに株価や為替に反映されているとみる
●米国の製造業のニアショアリング化は構造的なものであり、今回の選挙結果によって長期的に影響を受けることはなく、米国との貿易関係が、メキシコ経済のファンダメンタルズの回復や企業業績の伸びに引き続きプラスに寄与するとみる
●メキシコ株式のPERは、3年前や、新興国株式、先進国株式と比べて魅力的な水準
2024年6月2日に行われたメキシコの大統領選で、与党左派政党モレナ党のクラウディア・シェインバウム氏が地滑り的勝利を収め、メキシコ初の女性大統領が誕生することとなりました。想定以上の大勝利を収め、与党連合が改憲可能な勢力となる可能性が高まっています。任期満了で退任したロペス大統領の最側近だったクラウディア氏が現政権の国家保守主義色の強い経済政策を引き継ぎ、選挙後の改憲、財政悪化やエネルギー、鉱業部門の国有化などに動く可能性を懸念し、週明け、翌日のメキシコの金融市場はトリプル安となりました。選挙後の発表では、ロヘリオ・ラミレス・デ・ラ・オ財務・公債相のもと、選挙前に設置された財務チームが留任することが明らかになり、足元ではメキシコの金融市場は反発しています。
メキシコ株式、キシコ・ペソはともに過去3年間、大きく上昇した市場の一つであり、選挙後の下落を考慮しても、累積で上昇を記録しており、利益確定の売りによる株価の調整が大きかったとみられます。
ロヘリオ・ラミレス・デ・ラ・オ財務・公債相のもとでの、選挙前に設置された財務チームが留任することによる意思決定者の継続性と安定性は、激変への懸念を和らげ、当面はマクロ的な懸念は和らいでいるようです。
政治的な確実性がより高まるまで、メキシコの金融市場の値動きが大きくなる可能性がありますが、懸念は価格に反映されているとみています。米国の製造業のニアショアリング化は構造的なものであり、今回の選挙結果によって長期的に影響を受けることはなく、健全なマクロ政策、コロナ後の産業と消費の回復、そしてニアショアリングと結びついた米国との貿易関係が、メキシコ経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)や企業収益に引き続きプラスに寄与するとみています。
メキシコ株式のバリュエーション(投資価値評価)は依然として魅力的です。好業績が継続しており、メキシコ株式は依然として割安とみています。メキシコ株式は、株価収益率(PER)の拡大というよりも、過去3年間の企業収益の力強い回復によって大きくけん引されてきました。
今のところ、選挙結果による企業業績への大きな影響はないとみています。実際、メキシコ株式(MSCIメキシコ株価指数)の株価収益率(PER)は11.6倍(2024年6日20日現在)となっています。これは、メキシコ株式の5年平均のPER (13.2倍)(2019年6月20日~2024年6月20日)や、新興国株式(MSCI新興国株価指数)(12.4倍)(2024年6月20日現在)、先進国株式(MSCI世界株価指数指数)(18.8倍)(2024年6月20日現在)と比較しても魅力的な水準とみられます。
こうした環境下におけるメキシコ株式の調整は、中長期的な投資機会を提供すると考えます。
メキシコ株式のパフォーマンスとメキシコ株式、新興国株式の予想株価収益率(PER)
日次、期間:2019年6月20日~2024年6月20日、メキシコ株式は2019年6月20日=100として指数化
※メキシコ株式:MSCIメキシコ株価指数、新興国株式:MSCI新興国株価指数 ※株価指数は配当込み、米ドルベース ※予想PERはブルームバーグ集計アナリスト予想平均、12ヵ月先予想
出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ・ジャパン作成
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