Article Title
2023年2月の新興国株式市場と今後の見通し
2023/03/08

Share

Line

LinkedIn

URLをコピー


概要

2月の新興国株式市場(現地通貨ベース)は月間で下落となりました。主要国別の市場動向、今後の見通しについてご紹介いたします。
※記載内容はすべて海外市場の月末1営業日前ベースでのコメントになります。



Article Body Text

2023年2月の新興国株式市場

新興国株式市場は、月間を通して概ね下落基調となりました。米国の労働市場などの経済指標は依然として強く、消費者物価指数(CPI)の伸び率からも根強いインフレ圧力が示されたことなどを受けて、米国の利上げ長期化懸念が高まったことや、米軍による中国の気球撃墜を受けた、米中対立の緊迫化などがマイナス材料となりました。

主要国別、セクター別の動き(現地通貨ベース)

国別(現地通貨ベース)では、台湾は、新型コロナウイルスに関する水際対策の緩和などのプラス材料はありましたが、米中対立や米ハイテク株安などがマイナス材料となり、主力の情報技術セクターを中心に下落しました。韓国も、主力の情報技術セクターを中心に下落しました。インドは、前月に引き続き新興財閥のグループ企業における不正会計疑惑問題が大きな重荷となったほか、国内のインフレ率の再加速なども懸念材料となり、下落しました。また、新年度(2023年4月~2024年3月)予算案で、高額保険料の生命保険の満期保険金に対する課税強化が含まれていることなどが明らかとなったことを受けて、マイナスの影響を受けると懸念された保険銘柄などは相対的に下落率が大きくなりました。南アフリカは、金価格の下落などを受けて素材セクターを中心に下落しました。ブラジルは、引き続きルラ政権の政策運営に対する不透明感や中央銀行の独立性を軽視する発言などが、経済の先行き不安につながったことなどがマイナス材料となったほか、主力の素材セクターの銘柄が大きく下落したことなどから、市場全体でも下落となりました。中国は、米中対立の緊迫化がマイナス材料となったほか、価格競争激化懸念が高まったeコマース関連の銘柄などが大きく下落しました。こうしたことから、中国は前月の大幅上昇から一転して、当月は相対的に大きく下落しました。

セクター別(現地通貨ベース)では、全セクターがマイナスとなりました。特に、一般消費財・サービス、公益事業、ヘルスケアなどは下落率が相対的に大きくなりました。

今後の見通し

長期的には、新興国経済は、若い労働人口が豊富であることなどを背景に、中間所得層の持続的な拡大や構造変化に後押しされ、先進国を凌ぐ成長力を有しているとの見方には変更ありません。

米国のインフレの伸びはピークを迎えつつあるとみられます。米国の利上げサイクルの終了も視野に入りつつあり、米ドルの一段高の可能性も後退すると考えられます。こうした流れは新興国株式市場の追い風になると考えられます。

新興国株式のバリュエーション(投資価値評価)は、先進国株式に比べて依然として魅力的な水準にあります。ゼロコロナ政策の終了による中国の経済再開により、企業業績の回復や周辺国・地域経済へのプラスの恩恵などが期待されますが、これらのプラス材料は株価に十分には織り込まれていないとみています。

中国の経済正常化の道のりは平坦なものではないとみられますが、多くの投資家は中国経済に対して、より明るい見通しを持ち始めています。こうした状況を踏まえると、今後数ヵ月の株価下落局面は、新たな投資の機会となる可能性もあると考えます。

アジアを中心に新興国は「デジタル化」や「テクノロジー」の分野をけん引する存在であるとともに、脱炭素など世界的な環境課題においても、CO2(二酸化炭素)排出削減などで重要な役割を担いつつあるとみており、これまで見過ごされてきた、あるいは新たな価値の発掘につながる可能性があると期待しています。

 

 


●当資料はピクテ・グループの海外拠点からの情報提供に基づき、ピクテ・ジャパン株式会社が翻訳・編集し、作成した資料であり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。
●当資料に記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当資料中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の保護の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりません。
●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。

手数料およびリスクについてはこちら

MSCI指数は、MSCIが開発した指数です。同指数に対する著作権、知的所有権その他一切の権利はMSCIに帰属します。またMSCIは、同指数の内容を変更する権利および公表を停止する権利を有しています。




関連記事


2024年7月の新興国株式市場

持続可能で再生可能な未来に貢献する建物

中央銀行はなぜ金を保有するのか?

2024年6月の新興国株式市場

新興国市場:メキシコ初の女性大統領~選挙戦の後の株価調整は中長期的な投資機会とみる

イベント・ドリブン戦略に好機を提供するアジアの肥沃な土壌