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- グローバル株式市場の振り返り(2023年7月)― ファクターとセクターの観点から
7月のグローバル株式市場をファクターとセクターの観点から振り返ります。
■ ファクター
世界の株式市場は、月初、米国のADP雇用統計などの経済指標が市場予想を上回ったことなどを受けて米国金利が上昇したことや、中国のサービス業購買担当者景気指数(PMI)の低下などを受け下落しました。しかしその後は、米消費者物価指数(CPI)の上昇率が前月から低下するなど米国の物価上昇圧力が鈍化したことや、英国の物価上昇の鈍化、良好な企業決算の発表などを受けて株式市場は上昇基調となりました。月末にかけてもユーロ圏の利上げ打ち止め期待や米国経済の底堅さなどが評価されたことから株式市場は上昇し、月間でも上昇となりました。こうした中で、小型株の値動きの影響を大きく受ける均等配分、セクター内でバリュエーションの低い銘柄からなるエンハンスト・バリューなどが堅調でした。これまで好調だったクオリティは市場平均を下回っており、市場の物色動向が変化しているようです。また、低ボラティリティーは苦戦しました。
過去1年では、同様にクオリティ、エンハンスト・バリューが堅調だった一方で、低ボラティリティー、均等配分が苦戦しました。
また、7月は大型株より小型株が優勢で、グロースよりもバリューが優勢でした。過去1年では大型、グロースが相対的に優勢でした。
■ セクター
7月は原油価格が上昇に転じたことからエネルギーが堅調となったほか、良好な業績動向が好感された銘柄にけん引されたコミュニケーション・サービスなどのセクターが堅調となる一方で、ヘルスケア、公益事業、生活必需品などの景気変動の影響を受けにくい傾向のあるディフェンシブ・セクターが苦戦しました。
過去1年では、情報技術の上昇が大きく、資本財・サービスも堅調でした。一方、金利上昇や金融不安による資金調達や主に商業用不動産の市況への影響が懸念された不動産が大きく苦戦したほか、公益事業も苦戦しました。
ファクターとは
ファクターとは、株式や債券など資産や個別銘柄のリターンを過去、長期にわたり生み出してきたとされるリターンの源泉です。リターンやリスクの要因を説明する共通の要因(特性)のことです。ここでは、以下の主なファクターを獲得するように作られたMSCIの各指数を用いて分析しています。
均等配分:グローバル株価指数(時価総額基準)の採用銘柄を均等配分で投資した場合のパフォーマンスを示す。小型株の構成比が時価総額基準の指数に比べて高くなる傾向にある。
モメンタム:過去6ヵ月、12ヵ月など過去において、パフォーマンスのよかった銘柄。(使用している指数では、構成銘柄は通常年2回のペースで見直されます。)
エンハンスト・バリュー:各セクターの中で、利益、資産、キャッシュフローの観点で株価が割安な銘柄
高配当:相対的に配当利回りの高い銘柄
クオリティ:利益率、財務体質、業績の安定性の点で優れている銘柄
低ボラティリティー:ポートフォリオのリスクを最小化することを目的に最適化した銘柄からなるもので、株価のボラティリティー(変動)やベータ等の低い銘柄が多い
大型株、小型株:時価総額が相対的に大きい銘柄、小さい銘柄
グロース:業績の成長性の高い銘柄
バリュー:株価の割安な銘柄
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