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新興国株式市場のアップデート (2023年12月)
2023/12/21

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概要

足元の新興国株式市場について、押さえておきたいポイントをさまざまな観点からアップデートしていきます。



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■   全体

新興国株式市場は、昨年終わりから、中国のゼロコロナ政策の緩和や不動産市場対策などによる景気回復への期待などから上昇しましたが、今年2月には米国で堅調な経済指標が発表されたことを背景に米長期金利上昇や米ドル高が進行したことなどから調整しました。3月下旬以降は、米長期金利が低下に転じたことなどから、新興国株式市場も反発に転じ、5月にはAI(人工知能)関連株が注目され世界的にハイテク関連株高となり、新興国株式も上昇基調となりました。8月に入り米長期金利の上昇や、コロナ後の中国経済の回復が鈍いことなどから新興国株式市場も反落しました。

11月以降は米国の利上げ終了期待から、米国の長期金利の低下と株価上昇をうけて新興国株式市場も上昇に転じ、堅調な動きになっています。

新興国株式は先進国株式との比較では苦戦しています。米国の成長株を中心とした上昇で先進国株式の相対的に堅調な展開が継続したことが背景です。足元でも米国を中心とした先進国株の上昇に追いついていない状況です。





 

■   グロース/バリュー

5月にはAI(人工知能)関連株が注目され、新興国株式市場においてもハイテク関連中心にグロース(相対的に成長性の高い)銘柄が優位となる(相対パフォーマンスのグラフが上向きになった)局面もありましたが、その後は再びバリュー(相対的にバリュエーションの低い)銘柄優位に戻っています。足元ではグロース銘柄が優位に転じつつありますが、継続的な動きにはいたっていません。

 





■   主要国の動き

中国は昨年10月以降のゼロコロナ政策の緩和や不動産市場対策などを好感した上昇が一巡した後は、景気回復ペースの鈍さや米国のハイテク分野での対中投資規制への懸念などから、調整局面が続いています。金融緩和や不動産投資の促進策などの経済対策がとられているものの、依然として上値の重い展開が継続しています。

台湾及び韓国は、5月にAI(人工知能)関連株が注目され、世界的にハイテク関連株高となる中で、主力の半導体関連銘柄を中心に堅調な動きとなりました。8月以降は米国株式の上値が重い展開の中で、調整局面となっていましたが、11月に入り米国株式が上昇に転じ両国もハイテク関連を中心に堅調な動きになっています。

ブラジルは昨年10月の大統領選を経て、財政政策への不安感などから調整しましたが、3月には米ドル高一服からブラジルレアルが堅調となり株価も反発に転じました。8月以降、米長期金利の上昇などから上値が重くなりましたが、11月に入り米国の利上げ終了期待から、米国の長期金利の低下と株価上昇をうけて上昇に転じ、堅調な展開が継続しています。

インドでは2月の新興財閥のアダニ・グループの不正会計疑惑による海外資金の流出懸念などが株式市場の上値を抑える要因となっていました。4月には消費者物価指数の伸び鈍化や政策金利が引き上げられなかったことなどから上昇に転じています。その後もインド政府が米半導体企業のインド工場建設計画を承認したことなどから、海外からの資金流入の拡大が期待され、概ね堅調な展開が継続し、足元では一段の上昇となっています。

南アフリカは、2月に深刻な電力不足から非常事態宣言が出され、景気後退懸念から南アフリカランドが下落基調となったほか、株価も軟調な展開が続きました。6月には電力危機解消に向けて中国に支援を要請する方針が示されたことが好感され反転上昇する局面もありましたが、その後は再び軟調な動きとなりました。足元では堅調な金価格を背景に金鉱株などがけん引し、徐々に下値を切り上げる展開となっています。




 

■   セクター(業種)の動き


韓国や台湾の半導体、電子部品などの銘柄を中心に情報技術セクターが堅調であったほか、エネルギーはブラジルやインドの石油精製を行う銘柄を中止に上昇しました。一方、不動産は中国の銘柄の下落が目立ちました。素材では、南アフリカの金鉱株などは堅調でしたが、中国の化学業界の銘柄などが下落しました。




 

■   商品市況の動き

新興国の中には、資源国も多く商品市況には注意が必要です。新興国株式市場に加えて原油及び銅の過去10年の価格の推移について大きな流れを見ておきます。

2020年のコロナショックによる下落を経て、原油や銅の価格は上昇基調となりました。その後、2022年に入り、米国の政策金利が引き上げられる中で景気減速懸念から下落しました。銅は昨年後半に反転上昇となりましたが、上値の重い展開となっています。原油は軟調な展開が継続しています。2023年7月以降は主要産油国の減産継続などを背景に反転しましたが、上値が抑えられています。




 


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