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- 英国とEUの将来に関する協議、時間切れが近づく
英国のEU離脱協議は、移行期間の期限を控え大詰めを迎えています。離脱に伴い英国はEU機関へは参加していませんが、EUの関税同盟、単一市場に残りながらEUとの関係を協議しています。仮に何ら合意なく移行期間を終えた場合、英国のみならず、世界的な影響も懸念されるだけに、今後の動向が注目されます。
EU首脳会議:協議継続か、それとも打ち切りか、ギリギリの交渉が続く
欧州連合(EU)は2020年10月15~16日の日程で首脳会議(EU首脳会議)を開催しています。EUを離脱した英国との関係を討議しています。EUは15日の合意文章で「今後、数週間」協議を継続するとする一方で、英国に自由貿易協定(FTA)締結交渉でのさらなる譲歩を求めました。
英国にEUが譲歩を求めることに対し、英国の交渉担当からは不満の声も聞かれますが、今後も交渉を継続するのか、それとも打ち切るのか、16日に表明すると見られます。
どこに注目すべきか:離脱協議、EU首脳会議、移行期間、部分合意
英国のEU離脱協議は、移行期間の期限を控え大詰めを迎えています(図表1参照)。離脱に伴い英国はEU機関へは参加していませんが、EUの関税同盟、単一市場に残りながらEUとの関係を協議しています。仮に何ら合意なく移行期間を終えた場合、英国のみならず、世界的な影響も懸念されるだけに、今後の動向が注目されます。
まず、英国のEU離脱に関連するイベントを振り返ると、昨年の英国議会選挙でEU離脱を支持する保守党が勝利したことで、英国のEU離脱の方針は確定され、今年3月からの英国とEUとの協議では離脱後の姿が協議されています。
協議は10月2日までに第9ラウンドを数えるまで実施されています。経済から安全保障まで様々な分野の協議が行われる中、政治的合意が一定の分野で見られます。
反対に、残っている主な問題は漁業権と公平な競争の確保の問題です。漁業権は今までは英国の排他的経済水域でEUが可能であった漁業を確保するもので、交渉のうえで英国に有利なカードと見られます。公平な競争は英国がダンピングをしないことや補助金で英国企業に有利となる政策をしないよう主にEUが求めている構図です。EUが英国に歩み寄りを求めるも、英国は不満、と報道されています。
今回のEU首脳会議が注目されるのは、英国が9月にEUとの協議の期限を、会議の日程に合わせた15日としたからです。協議の継続か、それとも打ち切り(合意なき離脱)となるかが16日に判明すると見られます。もっとも、継続となっても移行期間は年末で、協議合意後の英国、欧州議会での批准手続きから11月前半頃が「現実的な」期限と見られます。
16日に英国が協議を続けると表明するかを事前に予想するのは困難ですが、政治動向を反映しやすい為替市場を見る限り落ち着いているように見られます。ただ、景気動向やコロナ感染再拡大懸念から株式市場は軟調です。逆に言えば経済に不安がある中で、今、合意なき離脱を選択する可能性を市場は低いと見ているようです。また11月迄交渉が延びても厳しい交渉が想定されます。それでも、落としどころとして、ゼロか1かで協議を終わらせるのではなく、11月の実質期限までに部分合意なら十分可能との見方が市場で優勢なこともポンドが落ち着いている背景と思われます。ただ、過去、欧州の交渉(や国民投票)の結末は奇々怪々であったこともあり、結果は終わってみないと正直わかりません。
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