もっと知りたいメガトレンド
森林火災防止に向けたテクノロジーの役割
人工知能(AI)を活用した森林火災との闘い
森林火災は、生物多様性の損失や地域社会(コミュニティ)の破壊の原因であり、地球温暖化を悪化させています。こうした状況を解決する手段の一つになると期待されるのが人工知能(AI)です。
森林火災は地球の温暖化に深刻な影響を及ぼしています。欧州連合(EU)の地球観測プログラム「コペルニクス(大気監視サービス)」の報告によると、森林火災は、約17億6千万トンの二酸化炭素(CO2)を大気中に放出していますが、これは、ドイツ全土で一年間に排出されるCO2の2倍を超える量にあたります。森林火災は、野生生物や生物多様性にも甚大な影響を及ぼす他、コミュニティを破壊し、経済成長を阻害しています。
森林火災の最も一般的な原因は、送電線が樹木に接触して発火することです。電力会社は多くの場合、全長数千キロにも及ぶ架空送電線を、人が住んでいない地域の原生林を通して設置していますが、送電線に接触した樹木が倒れる場所を予測することは容易ではありません。
こうした状況の解決に貢献しているのが、ローロフ・ピータース(Roelof Pieters)です。ピータース氏は、森林火災や停電を防ぐためにAIと衛星データを使い地球上の全ての植生を分析する、オーバーストーリー(Overstory)社の共同創業者であり、最高技術責任者(CTO)です。ピータース氏によれば、同社の使命は、「世界の自然資源の全体像をリアルタイムで把握すること」であり、また、「同社が提供する情報にアクセスした世界中の誰もが、気候危機やそれに関連する環境問題等、今日、私達が直面する課題を解決するために、より的確な判断を下せること」です。
オーバーストーリーの使命を実現するのは、かなりの難題です。同社が拠点を置く、アムステルダムとボストンに勤務するピータース氏と彼の同僚は、機械学習と人間の専門知識を組み合わせ、主に公益事業を展開する顧客のために目標の実現を目指しています。
大手電力会社の送電線は、都市や森林の上空を通過し、様々な植生の中を通って設置されています。長い送電線上で起こっている変化やリスクを全て監視することはこれまで不可能でしたが、ピータース氏によると、「衛星画像を使えば、地上の極めて詳細な状況を把握することが可能」であり、「地球上の様々な場所を上空から見ることができるので、発生している事象やその規模も伝えられるのです。また、ドローンやヘリコプターとは違いアクセスに制約がないため、世界中どこへでも行き、分析を行うことができるからです。」
AIのみで解決できる課題は全体の80%程度に留まるため、残りの20%程度については、樹木の専門家や現場の状況に詳しいメンバーで構成されるチームがデータを調べ、リスクに晒されている場所に実際に足を運んで分析を行います。
オーバーストーリーは世界各地に顧客を持っています。米国に拠点を置く大手電力会社は、オーバーストーリーの分析精度が極めて高いおかげで、停電を15%、樹木の伐採を18%減らすことができたと試算しています。
インフラの整備や運営に係るセクターも恩恵を受けています。鉄道会社や道路会社は、植生の変化が運行ルートに及ぼす影響や、インフラ施設の近くに生えている健全な樹木が地滑りや落石の防止に役立つかどうかを知りたいと考えています。
「オーバーストーリーは、森の健康を理解し持続可能な伐採に取り組んでいる、北欧諸国の企業と共同事業を行う多くの機会を得ましたが、持続可能な伐採は、健全な森をつくり、その影響を追跡できるだけでなく、森林の木材生産量を単位面積当たりの収入において増やしています」。
このような分析は、保険会社や急成長を遂げつつある炭素クレジット業界にとっても貴重です。透明性が低く、個々の商品の効果が疑問視されるなど、論争の的となっている炭素クレジット業界は、オーバーストーリーが他社に先駆けて開発したAIと人間の混合解析モデルを利用する可能性が大きいと考えます。
ピータース氏によれば、木を植え、炭素クレジットを計算するだけでは問題の解決につながらないことを、企業は理解しています。植樹の方法を決めるために必要な情報を入手するだけで、優に10年を要し、(木の種類や植える場所にもよりますが)木が育つまでに20~30年が必要です。そうしてようやく、炭素排出量が減り始める段階に到達するのです。樹木は生物多様性への貢献、水分の涵養・保持、浸食防止等、様々な恩恵をもたらしますが、新しい木を植えることよりも、伐採しないことや森林火災を回避することに、これまで以上に注力すべきかもしれません。
本ページは2023年3月にピクテ・アセット・マネジメントが作成した記事をピクテ・ジャパン株式会社が翻訳・編集したものです。
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