もっと知りたいメガトレンド
鉄鋼業界の持続可能性を高める
グリーン・スチール
ブラジルのブティック型ニッチ企業が「グリーン・スチール」革命の先導役となり、持続可能性への取り組みについては、ほとんど知られることのなかった鉄鋼業界を変えています。
エネルギーを大量に消費し、汚染物質を排出する高炉に依存することの多い鉄鋼業界は、持続可能性(サステナビリティ)を代表する業界とはいえませんが、現状を変えずにいる必要はありません。アソ・ヴェルデ・ド・ブラジル(Aço Verde do Brasil :AVB)は、世間の注目を集めることなく、持続可能な革命を起こしています。
鉄鋼業界では、ほとんど前例のない、気候変動に焦点を当てたビジネスモデルを構築したAVBは、環境に優しいコークス炭の代替燃料と再生可能エネルギーを併用し、原材料の循環利用を行って、顧客である不動産企業やインフラ関連企業に、環境負荷の低い鉄鋼製品を提供しています。フェローエステ・グループ(Grupo Ferroeste)の子会社であるAVBは、2020年、検査、検証、試験、および認証を行うSGSから、史上初のカーボン・ニュートラルな鉄鋼メーカーとしての認定を受け、2023年内に、世界初の廃棄物を出さない製鉄所を稼働させる計画を立てています。
AVBのサステナブルな製品の根幹を成すのは、ありふれたユーカリの木です。ユーカリの木が成長するまでの約7年間に大気から吸収する炭素の量は、製鉄工程で発生する炭素の量を上回ります。「このことが意味するのは、ユーカリの木が廃棄物を出さないゼロ・エミッション原料に分類されるということです」とAVBの共同最高経営責任者を務めるナシメント氏は説明しています。
このことが、通常の鋼材の製法との大きな違いです。ナシメント氏によれば、「世界の鉄鋼の95%は、コークス炭と鉄鉱石を使った従来型の製法によって生産され、生産工程で大量の二酸化炭素(CO2)を排出していますが、ブラジルは世界で唯一、ユーカリの木炭を使って鉄鋼を生産しているのです。」
当初、ユーカリ炭を選んだのは、現地で入手可能な資源であり、自然な成り行きだと思ったからです。「AVBは ブラジル北部に本社を置いていますが、ここでは、植林に適した土地、素晴らしい天候、豊富な水が得られます。海辺に住んでいる人が魚介類をよく食べるのは、容易に入手出来、しかも安いからですが、弊社が木炭を選んだ理由も同じです。生産を開始してから15年近くになりますが、出来る範囲で最高の選択をしたと実感しています。」
化石燃料を使わない製鉄
AVBの製鉄所では、石炭に限らず、化石燃料を一切使用していません。その代わり、溶鉱炉から副産物として排出されるガスを回収して、再生可能エネルギーを調達しています。また、鉱滓(スラグ)からガスに至るあらゆる残留物を再利用しています。こうしたユニークで高価値のアプローチにより、他社の追随を許さない存在となっています。
「コモディティ(商品)には、ドレスのように、他とは異なるデザインや色があるわけではありません。コモディティはコモディティに過ぎないわけですから、顧客に買ってもらうためには、買いたいと思ってもらうための方法を見つけなければなりません。弊社の差別化の先行きは、CO2排出量のバランスシート次第だと考えます。」とナシメント氏は話します。
また、コモディティ価格が高騰する局面では、原材料のコストダウンにもつながります。同氏によると、「環境に良いことが、私にも役立っています。他社と同じ鋼材を生産しても原材料の使用量が少なくて済むからです。こうした考えに沿って進めているプロジェクトは他にも色々あります。」
「グリーン・スチール」に対する世界的な関心が高まって、AVBは急成長を遂げており、今後が大いに期待されますが、ナシメント氏が明言しているのは、同氏の家族が利益をあげること、だけを重視しているのではなく、父親の遺志を継ぐことも重要だと考えているからです。従業員のニーズに応えるための包括的な対策からブラジルの森林を保護するための慎重な取り組みに至るまで、AVBの活動の全てに長期的な考え方が明確に反映されています。
「私の子供や孫に会社を成長させ続けて欲しいと考えるなら、どこから原材料を調達するかに配慮にしなければならないと考えています。」
投資家のためのインサイト
- 世界の鉄鋼業の規模は5,000億米ドルに迫ります。
- 鉄鋼は、最も再生利用率が高い素材の一つであり、世界全体の平均リサイクル率は約80~90%に達します。
- 産業革命前からの気温上昇幅を1.5℃以下に抑えるために鉄鋼業が責務を果たすには、2050年までに排出量を約90%削減する必要がある、とグローバル・エネルギー・モニターは試算しています。
本ページは2023年5月にピクテ・アセット・マネジメントが作成した記事をピクテ・ジャパン株式会社が翻訳・編集したものです。
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