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日本銀行と金融政策② ~日本銀行の独立性と使命~
2024/10/17

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概要


日本銀行は政府機関ではなく、その独立性と業務運営の自主性が確保されており、物価と金融システムの安定を目的としています。


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■日本銀行の独立性と役割

今回は日本銀行の独立性とその役割や使命についてご説明いたします。日本銀行は日本唯一の中央銀行として設立された認可法人であり、政府機関ではありません。つまり、日本銀行はその独立性が確保されており、業務運営においては自主性が与えられています。このように、日本銀行が政府から独立した立場であるということは現在の日本銀行法(1998年施行)に基づきますが、それ以前の業務運営はどのようなものだったのか、設立から現在までを振り返りたいと思います(図表1)。

前号「日本銀行と金融政策①」でご説明したように、日本銀行は通貨価値の安定と近代的信用制度確立のため、日本銀行条例(1882年)に基づき設立され、業務を開始しました。その後、日中戦争(1937年)を契機として戦時体制強化の観点から、さまざまな改革が実施される中で金融制度改革の1つとして制定された法律が旧日本銀行法(1942年)でした。それまでの日本銀行条例では政府の監督権限は消極的なものでしたが、旧日本銀行法では政府による監督制度が強化され、役員解任の権限や幅広い業務命令権を政府が持つことになりました。よって旧日本銀行法においては戦時体制の影響が大きく、日本銀行の独立性は明確に確保されていなかったといえます。その後、経済・金融の国際化や諸外国における中央銀行制度改革の流れを受け、日本においても旧日本銀行法が全面改正され、現在の日本銀行法が制定されました。この改正に伴い、政府の権限は大きく見直され、その政策運営の合法性のチェックに限定されています。


図表1:現行の日本銀行法制定までの流れ


■日本銀行の使命

現在の日本銀行法において、日本銀行が担う2つの大きな役割、使命が明記されています。1つは「物価の安定」、もう1つは「金融システムの安定」です。今回は物価の安定に注目してご説明いたします。日本銀行の金融政策の最も重要な使命が物価の安定である理由は、物価の安定は経済が安定的かつ持続的成長を遂げていく上で不可欠であり、日本銀行はこれにより国民経済の健全な発展に資するという役割を担っているためです。日本銀行のみならず、多くの中央銀行が物価の安定を重要な役割としています。ちなみに日本銀行が定義する物価の安定とは、「家計や企業等の様々な経済主体が、財・サービス全般の物価水準の変動に煩わされることなく、消費や投資などの経済活動にかかる意思決定を行うことができる状況」となっています。

2013年1月、日本銀行は早期のデフレ脱却と物価安定の下での持続的な経済成長を実現するため、日本政府との連携を強化する声明を政府と共同で公表しました。そして、その後の金融政策決定会合にて、物価安定目標を消費者物価の前年比上昇率2%と定めました。では、実際にこの物価目標を達成するためにどのような金融政策を行っているのか、あるいは行ってきたのか、詳細については次号でご説明いたします。    



   



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