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日本銀行と金融政策③~日本銀行の物価安定目標~
2024/10/31

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概要


日本銀行が掲げる物価安定目標とその目標を達成するために行う金融政策についての基礎知識を理解することが重要です。


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■物価安定目標を掲げる意義

今回は日本銀行が掲げる物価安定目標とその目標達成のために行っている金融政策についてご説明いたします。現在、日本銀行が掲げる物価安定目標は消費者物価の前年比上昇率2%と定められています。そもそも「物価安定」とは、「家計や企業等の様々な経済主体が物価水準の変動に煩わされることなく、消費や投資などの経済活動にかかる意思決定を行うことができる状況」と定義されており、持続可能なものでなければなりません。また、通常、物価は経済の競争力や成長力の増強に伴い、上昇していくものと考えられます。過去の日本を振り返ると、失われた20年という言葉にあるように長期的な景気低迷が続いてきた経緯があり、その要因の1つとしてデフレがあげられます。よって、デフレ脱却による景気回復を目指す日本政府と足並みをそろえ、持続的かつ安定的に達成していくことが見込まれると判断した物価安定の目標が2%になるというわけです。ちなみにこの2%という数字は何か論理的根拠に裏付けたされたものではないようですが、日本銀行の黒田東彦元総裁は2014年に行われた講演において、2%を目標に置いた理由として、消費者物価指数には上方バイアス(上昇率が高めになる傾向)があること、景気悪化局面での金融政策の緩和余地を維持しておくこと、多くの主要国が2%を目標とする「グローバル・スタンダード」になっていることをあげています(図表1)。


図表1:物価安定目標とデフレ




■日本銀行が行う「金融政策」

景気や物価の安定化を図るために行われる日本銀行の「金融政策」は、日本政府が行う財政政策同様にアクセル(景気刺激策)とブレーキ(景気抑制策)があり、政策金利やマネタリーベース注1を調整することで最終的に景気や物価の安定化を目指します(図表2)。たとえば、景気を刺激したい場合、政策金利を引き下げ、国債の買いオペレーション等を通じてマネタリーベースを拡大します。これにより、世の中の金利が低下し、個人の消費や住宅購入、企業の設備投資が増え、景気が良くなることが期待されます。これを金融緩和といいます。ただし、行き過ぎた緩和は過度なインフレや資産バブル、通貨安につながるため、適切なコントロールが重要になります。

注1:日本銀行が世の中に直接的に供給するお金のこと。

図表2:金融政策


注1:長短金利操作のこと。短期金利を政策金利で、長期金利を国債のオペレーションで意図的に操作する。
注2:金融市場調節の手段の1つで、主に金融機関を相手に行う資金の貸付けや国債等の売買により、金融市場における資金の供給と吸収を行うことを意味する。
※上記はイメージです。

        

 



 



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