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実践的基礎知識ポートフォリオ特性の確認編( 4 )<債券ポートフォリオのチェックポイント>
2021/07/09

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概要

債券投資では金利変動リスクや信用リスクなど、リスクがあります。したがって、投資にあたってはリスクと利回りのバランスを考えることが大事です。




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債券の利回りと修正デュレーション

債券投資はお金を貸すという性格を持ちます。債券は、お金を貸したときに発生する権利(債権=貸したお金を返してもらう権利と利息を受け取る権利)を売買するために、その権利を有価証券の形にしたものです。いわば、売買できる借用証の様なものです。債券を買うということは債券の発行体にお金を貸し、「貸したお金を満期時に返してもらうことに加え、約束した利金を受け取る」権利を買うということです。債券は、債券発行日(債券の発行体にとってお金を借りる日)、額面(返す金額)、利率(額面に対する利金の割合)、償還日(お金を返す日)などが決められて発行されます。

一般に利回りとは、投資金額に対する収益の割合です。債券投資の場合、この利回りの考え方がいくつかありますが、最も代表的なのは最終利回りです。最終利回りは債券購入価格に対する、1年間に支払われる利金と債券償還差益の比率です。もう一つよく目にするのが直接利回りです。直接利回りは、債券の購入価格に対する、1年間に支払われる利金の比率です。直利は償還差損益を考慮しないため、あまり実用的ではありません(図表1)。

図表1:債券の利回り

・直接利回り(直利):

1年あたりの利金÷購入価格

・最終利回り(終利):

{1年あたりの利金+(償還価格-購入価格)÷残存年数}÷購入価格

 

また、利回りはベース金利+上乗せ金利の合計と考えることができます。その合計である利回りが上がった/下がった場合に、債券の価格が何%くらい下がる/上がるのかを測るモノサシが「修正デュレーション」です。修正デュレーションが大きい債券ほど、利回りの変化による価格変化が大きくなります(図表2)。

図表2:修正デュレーション

・修正デュレーションが大きい債券の方が、利回りの変化による価格変動が大きくなります。利回りが下落した場合の価格上昇にも同じことが当てはまります。

・利回り変化幅×修正デュレーション=債券価格変動幅(±は利回りに対し逆になります。)

 

債券利回りのベース金利と上乗せ金利

信用リスクは、債券の発行体の財務状況等の悪化により利金や額面をあらかじめ定められた条件で支払うことが出来なくなる(債務不履行、またはデフォルト)リスク、発行体の信用力が低下した場合に価格が下落するリスク、より高い利回りを求められて債券利回りが上昇し債券価格が下落するリスクなどを総称していいます。

債券の利回りを考える上で重要になってくるのが、ベース金利(国債の利回り)と上乗せ金利(スプレッド)という考え方です。ベース金利は、基本的には債券額面表示通貨(~建て)を発行している国の国債利回りです。上乗せ金利は借り手(発行体)の信用力に応じて上乗せされる利回りで、スプレッドとも呼ばれます。(期限前償還の条件付与を反映したスプレッドなどもありますが、ここでは信用リスクだけを説明します。)どのくらいの上乗せを求められるかは、借り手の信用力のみならず、市場環境(例えば低い利回りでもいいから買いたい人が多い場合/高い利回りでないと買いたくない人が多い場合)などに応じて変わります(図表3)。

図表3:債券利回りのベース金利と上乗せ金利

債券投資では金利変動リスクや信用リスクなどのリスクがあります。したがって、投資にあたってはリスクと利回りのバランスを考えることが大事です。



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