債券利回りの大幅な低下に伴い、「株式に債券を組み合わせることでリスクを抑える」というこれまでのバランス運用の基本形が大きく崩れてしまった可能性があります。今後ポートフォリオの構築を考える場合には、組み合わせる資産の配分を工夫したり、伝統的資産に対し相関の低いオルタナティブ投資を活用するなど、従来とは異なるアプローチが必要になってくると考えられます。

インフレからお金の価値を守るには

日本銀行は年率2%の「物価安定の目標」を早期に実現するため金融緩和を行っており、将来的なインフレが懸念されます。インフレによりものの値段が上がれば、お金の実質的な価値は減ってしまいます。実質的な価値を減らさないようにするためには、ものの値段が上がる以上にお金を増やす必要があります。
インフレからお金の実質的な価値を守るためには、金融資産全体で考えることが重要となってきます。投資している部分だけがインフレに勝てばいいというものではなく、金融資産全体の価値がインフレで目減りしないような全体設計が必要です。お金の価値を守るための投資には過度なリスクは必要なく、むしろ大きな金額の投資に耐えられるようなポートフォリオにする必要があります。
図表1は預金を含めた資産の全体設計の考え方のイメージを「お金のタマゴ」の形で表したものです。運用の目的や資金の性格、投資できる期間などを踏まえた上で、どの投資対象が自分に合っているかどうかを預金を含めた金融資産全体から考えることが大切です。

これからのポートフォリオ構築のポイント

債券利回りが極端な低水準に低下している現在、「株式に債券を組み合わせることでリスクを抑える」というこれまでのバランス運用の基本形が、大きく崩れてしまった可能性があります。
従って、これからポートフォリオ構築を考える場合には、株式とキャッシュの配分変更や低相関資産の組み合わせ、オルタナティブ投資の活用など、債券の組入比率を高める以外の手法でリスクを抑えるアプローチが必要になってくると考えられます。こうした対応をファンド内で行う「バランスファンド」の活用も検討してみるのも良いでしょう。
また実際のポートフォリオを考える場合には、過去と現在の違いを考慮したり、為替ヘッジを利用したりするなど、現実に即した工夫も必要です。