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- ESG投資編(1)ESG投資とは?
ESG投資とは?
今回からは、最近よく見聞きするようになりましたESG投資について取り上げます。投資信託の商品にも、ESGを冠したファンドを見かけますが、このシリーズを通じて、ESG投資についての正しい知識を身につけましょう。初回は、ESG投資の概要につい
て説明します。
ESGとは
ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス (Governance)の頭文字を合わせた言葉です。ESGは、サステ ナブル(持続可能)な社会の実現に向けて、現代社会が抱え る課題を示しています。また、企業にとっても長期的な成長の ためには、ESGの3つの視点が必要だとする考え方が世界的 に広まってきています。それではまずESGの3つの視点につい て見ていきましょう。
環境(Environment)
ここでいう環境とは、自然環境を指し、気候変動や水資源、 低炭素化などが挙げられます。環境に良い取組みというと、 「地球温暖化問題に対処する二酸化炭素の削減」を思い浮 かべるかもしれませんが、水資源の有効活用や、砂漠化への 対応、汚染への対応など多岐にわたります。
社会(Social)
社会の例としては、ダイバーシティ(多様性)、働き方改善、児 童労働問題など従業員への配慮にとどまらず、自社が社会に 提供する製品やサービスに対する社会的配慮等も含まれま す。最近注目された新型コロナウイルスに対する企業の従業 員へのケア対応などもこの分野に該当します。
ガバナンス(Governance)
ガバナンスの例としては、公正・透明な経営や汚職、粉飾の 排除、株主権利の保護などが挙げられます。一般に、企業の ガバナンスは「コーポレート・ガバナンス」と呼ばれています。東 京証券取引所のコーポレート・ガバナンス・コードによりますと、 「会社が、株主をはじめ、顧客、従業員、地域社会等の立場 を踏まえた上で、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行 うための仕組みを意味する。」と定義しています。したがって、 ガバナンスも広い分野に対して確固たる態勢を構築している ことを企業に求めています。
図表1:ESGに関する要素の例
ESGが注目されてきた背景
ここ数年、地球温暖化に起因する大規模自然災害に代表 される環境問題や人種差別、児童労働などの社会問題の 深刻化により、サステナビリティへの関心が高まり全世界的 な取組みが求められるようになりました。企業にとっても、環 境問題や社会問題の影響から逃れることはできず、負の影 響をいかに軽減・防止するか、長期目線で考えることが大 切であるとの理解が深まってきました。 この機運を一気に高めた要因の一つは、2020年からの新 型コロナウイルスの影響でしょう。新型コロナウイルスの問題 は広く社会、産業、個別企業に影響を与え、今後のサステ ナブルな社会、企業の存続にはESGの視点が不可欠であ るという認識が広がりました。ESGは、一過性のテーマでは なく、将来にわたっての重要なテーマと考えられます。 2021年3月1日~3月14日までの約2週間の日本経済新 聞電子版で「ESG」と検索したところ96件がヒットしました。 1日あたり約7件です。ESGに関するコラムや企業のESGに 対する取組み記事のほか、人事異動欄では、「ESG推進室 長」、「ESG経営推進本部長」等の役職が数多く見受けられ、 改めて、ESGへの取組みが企業サイドで広がりを見せている ことが確認できました。
ESG投資とは
ESG投資とは、従来の企業業績、財務情報等の評価だけ でなく、株式や債券等有価証券の投資意思決定プロセスに、 ESGに関する評価を加えたものを指します(図表2)。 特に年金基金など大きな資金を長期で運用する機関投資 家にとって、企業経営のサステナビリティを評価することは 重要な要素となっています。従来の企業業績や財務情報 だけでは、企業の持続性や長期的な利益成長を見通すに は不十分ではないかと考えられるようになりました。そこで、 ESGという非財務情報の視点を加えた投資判断が行われ るようになりつつあります。具体的には、「利益を上げている」、 「財務状況が良い」といった点に加えて、「環境問題への取 組み」、「従業員への配慮」、「法令遵守態勢の確立」など ESGへどう取組んでいるのかを評価していくということです。 したがって、ESG投資はガバナンスが効いた中での長期の 企業成長の投資評価という側面を持つことから、潰れにくい 企業の投資判断の一つにもなります。 加えて、企業のESGへの取組みは長期にわたりますので、 投資時点での評価のみならず、継続的なESGへの取組み 状況の評価が重要となります。
図表2:ESG投資のイメージ
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