セミナーレポート
ピクテ・スペシャル・ジャパン・ツアー2020
貨幣価値下落時代へ突入か?
2020年代の資産運用戦略
ピクテでは、2020年1月21日から全国でセミナーを開催。
ここでは、2月18日に行われたオンラインセミナーの内容をお伝えします。
- 前編
- 後編
大きく下落してきた貨幣価値
1900年以降、米ドルや日本円、英ポンドなど各国の中央銀行が発行する通貨の金に対する相対価値は、大きく下落してきました。その背景には、戦乱や恐慌によるインフレや通貨体制の枠組みの変化、景気対策による通貨の大量供給などがあります。
例えば、1971年8月のニクソン・ショックの際には、ニクソン大統領が金と米ドルの交換停止を発表したことをきっかけに、米ドルの価値が急落し、それに伴い他の主要通貨の金に対する相対価値も下落しました。このように、通貨体制の枠組みが変化した時に貨幣価値は下落する傾向があります。この観点では、最近注目されているデジタル通貨により枠組みが変わるリスクは頭に入れておく必要があります。
2000年以降は、ITバブル崩壊やリーマンショックなどの経済危機に対応するため、世界各国の中央銀行が積極的な金融緩和を実施し、通貨の供給量が大幅に増加しました。この事も、金に対する各国の貨幣価値を下落させる要因となりました。足元でも、各国の中央銀行は金融緩和策を実施しているため、貨幣の価値は今後も下落する可能性があります。
これらの背景から、過去約120年間で金に対する各国の貨幣価値は下落してきました。
金を100とした場合の主要通貨の相対価値推移
年次、期間:1900年~2018年
※主要通貨の相対価値は各通貨の年間平均価格に基づきます。
※通貨価値の計算は金利を考慮していません。預貯金や債券で保有した場合には金利によって通貨価値の下落の多くは補われ、金のパフォーマンスを上回ることもあります。
出所:Global Financial Dataのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
価値の根底にある希少性
米ドルや日本円、英ポンドといった通貨の価値が下落してきた中でも、金はその輝きを保ち続けてきました。その背景の1つが、金の資源としての希少性にあると考えています。
金は埋蔵量や供給量に限りがある希少価値の高い資産です。一方、各国の通貨は経済的・政治的な理由から大量に供給されています。その結果、供給量が大きく増えた通貨の価値は希少性の高い金に対して下落し、相対的な金の価値が上昇してきました。
米ドルの総供給量と金の総残高および金価格の推移
年次、期間:1968年~2018年(1968年末=100として指数化)
※主要通貨の米国通貨供給量は米国マネーサプライ(M1ベース)。金は現物価格。
出所:Global Financial Data、World Gold Council、USGSのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
低金利も金の追い風に
金は債券などと異なり、金利を生まない資産です。そのため、金利水準が高い環境では、安全資産である国債の魅力が高まる事になります。
例えば、1981年9月には、米国の10年国債の利回りは15.8%をつけていました。このような局面では、金よりも債券の方に優位性があり、金価格は下落しました。
しかし、現在のような低金利環境下では、債券に対して相対的な金の魅力が高まることになります。このように、低金利環境である事も追い風となり、金価格は大きく上昇しています。
米国の10年国債利回りと金価格の推移
月次、期間:1971年1月~2019年12月
金:ロンドン・ゴールド・マーケット・フィキシングLtd-LBMA PMフィキシング価格/USD。
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
金を新たな分散投資先に
今まで分散投資と言えば、株式と債券を組み合わせるのが王道でした。しかし、現在のように金利水準が低く、債券投資への魅力が薄れている中では、債券に代わる新たな分散投資先が必要であると考えています。
金は、低金利環境で強みがあり、貨幣価値が下落する時代に価値を発揮する資産である事に加え、株式などの主要資産との相関が低く、異なる値動きをする傾向があります。これらの事から、金は債券に代わる新たな分散投資先として魅力的な資産であると考えています。
金価格および主要資産の相関表
月次、期間:1999年11月末~2019年11月末
※金:ロンドン・ゴールド・マーケット・フィキシングLtd-LBMA PMフィキシング価格/USD、日本株式:TOPIX(東証株価指数)、日本国債:FTSE日本国債指数、世界株式:MSCI世界株価指数、世界国債:FTSE世界国債指数、米国リート:FTSE/NAREITオール・エクイティ・リート指数、米国ハイイールド債券:BofAメリルリンチ米国ハイ・イールド・コンストレインド指数(すべて米ドルベースの指数を円換算)、米ドル預金・豪ドル預金・ユーロ預金は12ヵ月預金金利を用いて算出。
※金以外はすべてトータルリターン。金(円ヘッジ)は、金価格からヘッジコスト(米ドル、円Libor1ヵ月物の金利差)を控除して算出。
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
不透明な環境で輝く運用戦略
金と組み合わせの相性が良い資産の1つが世界公益株式です。現在のように景気の先行き不透明感が高まる環境で、株式の中でも業績が相対的に安定している世界公益株式の投資魅力度が高まっていくと考えられるからです。公益株式は、電力・ガス・水道・電話などの日常生活に不可欠なサービスを提供しているため、業績が景気に左右されにくい事から、他の業種に比べて貿易摩擦などの外部要因による影響を受けにくい性質があります。この事から、世界株式と比べて価格の安定性が期待できます。
過去の実績においても、世界公益株式と金を50%ずつ組み合わたバランス運用のパフォーマンスは、長期的に世界株式を上回って推移してきました。
今後も先行き不透明感が高まる事が予想される投資環境で、ますます輝きを増すと考えられる金をポートフォリオに組み入れ、世界公益株式と組み合わせる資産運用戦略が、今後の投資家の皆さまの選択肢になり得ると考えています。
金と世界公益株式の組み合わせ(バランス)と世界株式のパフォーマンス
月次、期間:1999年12月末~2019年12月末、円換算 1999年12月末=100として指数化
※世界公益株式:MSCI世界公益株価指数(配当込み、円換算)、金:ロンドン・ゴールド・マーケット・フィキシンクLtd-LBMA PMフィキシング価格/USDを円換算、バランス:世界公益株式(配当込み、円換算)50%+金(円換算)50%、世界株式:MSCI世界株価指数(配当込み、円換算)
出所:トムソン・ロイター・データストリーム、ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
●当資料はピクテ・ジャパン株式会社が作成した販売用資料であり、金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。取得の申込みにあたっては、販売会社よりお渡しする最新の投資信託説明書(交付目論見書)等の内容を必ずご確認の上、ご自身でご判断ください。
●投資信託は、値動きのある有価証券等(外貨建資産に投資する場合は、為替変動リスクもあります)に投資いたしますので、基準価額は変動します。したがって、投資者の皆さまの投資元本が保証されているものではなく、基準価額の下落により、損失を被り、投資元本を割り込むことがあります。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。
●当資料に記載された過去の実績は、将来の運用成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当資料中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の保護の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりません。
●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。
MSCI指数は、MSCIが開発した指数です。同指数に対する著作権、知的所有権その他一切の権利はMSCIに帰属します。またMSCIは、同指数の内容を変更する権利および公表を停止する権利を有しています。