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- 米国通貨供給量の拡大がもたらす、ドルの価値の下落と金の上昇
2020年3月23日、米連邦準備制度理事会(FRB)は無制限の量的緩和を決定した。その後急速に拡大してきているのが米国通貨供給量だ。金の供給量は限定的であるのに対し米国通貨供給量の拡大は、世界の基軸通貨であるドルの通貨価値の下落と金価格の上昇を引き起こす可能性がある。
米国通貨供給量の拡大は、米ドルの通貨価値下落と金価格上昇の要因
2020年3月23日米連邦準備制度理事会(FRB)は無制限の量的緩和を決定した。その後急速に拡大してきている指標がいくつかあるが、その一つが米国通貨供給量だ(図表1参照)。米国通貨供給量は3月20日の週の4兆1365億ドルから、わずか9週間で+9,297億ドルと約23%増加し、5月22日の週には5兆662億ドルとなった。金の供給量は限定的であるのに対し、このような米国通貨供給量の拡大は、ドルの通貨価値の下落と、供給量が限定的な金の価格上昇を引き起こす可能性がある。
米国通貨供給量は、リーマンショック後の量的緩和時期より早いペースで拡大
2019年末までに人類が産出した金は累積で約20万トンといわれている。そして1959年以降、平均して年率1.6%のペースで金は産出されてきた。一方で米国は、金の産出量の約3.6倍に上る年率5.7%で米国通貨供給量を拡大してきた(図表2参照)。
この米国通貨供給量だが、リーマンショック以降、米国で量的緩和政策が採用されてから一段と加速している事がグラフからも確認できる。当時の米国通貨供給量を調べてみると、前年比で最大23%拡大していた。それに対し、足元米国通貨供給量は5月22日の週に前年比33%と、4月10日の週以降、過去7週連続でリーマンショック後の量的緩和時期の最大の拡大ペースを上回っている。
この様にかつてないペースで米国通貨供給量が拡大しているが、一方で金は今のペースで産出を続けると20年足らずで全てを掘り尽くすと言われている。
将来的には産出ペースが落ちることすら想定される金の供給量と、過去最大のペースで拡大を続ける米国通貨供給量との供給量格差は、今後世界の基軸通貨であるドルの通貨価値の下落と供給量が限定的な金価格の上昇を引き起こす可能性があると考える。
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