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グローバル・マーケット・ウォッチ:水関連市場への高度なアプローチ
2019/03/26

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概要

世界の水不足は深刻さを増す一方ですが、問題を解決する鍵を握るのがテクノロジーです。ピクテの水関連株式投資は、このような投資機会を最大限に活用することが可能です。



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0.25%! これは、世界の水の総量に対する利用可能な水の比率を表す数字です。残りの99.75%は、塩分が強過ぎたり、汚染されていたり、凍った水です。世界の人口および中間所得層の増大を背景に1、生命を維持するために必要不可欠でありながら、希少な資源である水が不足する状況は深刻さを増す一方です。国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)によれば、地球は2030年までに40%の淡水不足に直面するとのことです。

図表1:水不足:水資源に占める淡水の供給不足の内訳
(灰色:不足が少ない、一番薄いオレンジ:少~中程度の不足、薄いオレンジ:中から多い不足、オレンジ:不足多い、濃いオレンジ:不足が非常に多い

淡水の水資源は、農業用、工業用、地方自治体、および国内の利用。期間:2012年~2014年

出所:ピクテ・グループ

水の有効利用を推進する必要があることは明らかです。換言すると、水の消費を減らし、排水の再利用を進め、現時点では利用不可能な水の新しい利用法を探ってみることです。

これを実現するには、公共セクターおよび民間セクター双方への投資と、あらゆる年齢層を対象とした教育が必要となり、資源としての水の生産性を改善するテクノロジーと革新(イノベーション)が求められます。ピクテの水関連株式投資は、投資とテクノロジーの水資源への貢献に焦点を当てています。

水関連テクノロジーが最優先課題としているのが、水の使用料が群を抜いて多い農業分野です。

図表2:水需要の拡大:世界の淡水使用料
(単位:1兆立法メートル)

 期間:1901年1月1日~2014年1月31日

出所:ピクテ・グループ

農業セクターの水の使用量は世界全体で年間5,000立方キロメートル強と、総使用量全体の70%に相当します。

精密な灌漑テクノロジーは、貴重な水資源の保存を目的としたイノベーションの一つであり、農業セクターの節水と、殺菌剤、除草剤、殺虫剤などの農薬の使用基準を引き下げることで、水汚染を減らそうとするものです。

例えば、センサー・ベースのIoT(モノのインターネット)テクノロジーは、水が必要とされる正確な時間と水量の計測を可能とし、水の消費を減らすと同時に農産物の収穫量を増やす一助となります。

より身近な例として挙げられるのは、携帯電話のアプリを使って操作するスマート・スプリンクラーで、家庭の庭での節水を可能としますが、このようなテクノロジーは、既に一大産業に発展しています。地域灌漑市場の世界の市場規模は、2025年までに現在の3倍を上回る149億ドルに達することが予想されています2。

水の再利用の推進


使用量を減らすと同時に、排水の再利用を進めることも重要です。民間企業が水不足を警戒する状況下、世界の排水再利用市場が年率20%と急拡大しています。排水再利用事業が直面する最も大きな技術面の課題は、健康や環境に障害を引き起こす可能性のある微生物を除去することです。排水は、清潔な水に変えることが出来るなら、重要な水資源となるからです。

分析化学の発展のおかげで、1兆分の1までの濃度測定が可能となっています。これは50万バレルの水に1滴の不純物が混じった濃度に相当します。処理水の質に対する信頼度を大きく改善させるものであり、再利用水を工業用水だけでなく、人間の使用に適する水にするための道を開くものになると考えます。

既存システムの延命措置

イノベーションは、新しいシステムの構築だけでなく、既存のシステムの維持のためにも必要です。インフラ設備の老朽化が深刻な問題となっていますが、米国だけで、年間1.7兆ガロンの処理済み飲料水が漏水となり、26億ドル分の損失が発生しています。テクノロジーは、故障のある個所を素早く見つけ、老朽化した水道管の耐用年数を延ばすことに貢献できます3。

水道のスマート・メーターは、使用料の変化を検知し、既存のシステムの耐用年数を延ばす取り組みの過程で、最初に使われることの多い装置です。例えばスペインのバルセロナ市は、スマート・メーターを設置した家庭の水の使用量が大きく増えた場合、あるいは漏水が検知された場合にe-mailまたは電話で通知しており、スマート・メーターの使用が、市民一人当たりの水の使用量を5分の1に減らす一助となっています4。

スマート・メーターの効果を最大限に生かすには、既に発生している問題あるいは将来起こり得る問題の認識のために、スマート・メーターで収集したデータとその他のセンサーで収集したデータを統合し、分析する必要があります。このような分野で注目されるのが、シンガポールを拠点とするヴィセンティです。同社のIoTプラットフォームは、水の流出率、総使用量、水圧、水質等に関するデータの管理を可能にすることで、リアルタイムの情報を提供し、異常が発見された場合の警告を発しています。


カナダのピュア・テクノロジー社等が設計したロボット・ネットワークシステムによる水道管検査装置、とりわけ高額かつ口径の大きい水道管内に設置される装置も漏水防衛策の一つです。同社は水関連インフラ大手ザイラム社の傘下にあり、漏水検知のため水道管内を自由に動き、音響活性を測定する「スマート・ボール」も開発しています5。

 前述の既に開発されたテクノロジーと、現在開発中の新しいテクノロジーを併用することは、世界に清潔な水を確保する一助になると考えます。水関連株式に投資することで、急速に成長するする新しい潮流の最前線に立つ機会が得られるのです。

“ピクテの水関連株式投資”

永続的な成長

グローバル経済において、可視的で、利益率が高く、長期的な観点による成長率の高さに注目

高い集中度

テーマ株投資において、専門運用グループによる水資源に集中した投資


多様化

グローバルな株価指数との重複が少ない、柔軟性のあるポートフォリオ

  1. 1. 経済開発協力機構(OECD)によると、中間層の人口は、2009年の18億人から2030年には49億人に増加する見通し。
    2. Inkwood Research 2017年
    3. US Environmental Protection Agency
    4. Water demand management strategies for water-scale cities, The case of Spain,2018年
    5. ザイラムは、2019年3月13日現在、ピクテの水関連株式投資のポートフォリオに含まれます。当社は、Visenti and pure Technologies社を保有。

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