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- グローバル・マーケット・ウォッチ:見通しは良くない~逆イールドカーブが株式市場にもたらすもの
逆イールドカーブは、世界の景気と株式市場に対する悪い知らせです。
イールドカーブは、再び正常に戻るのでしょうか?
図表1:米10年国債利回り(左軸、%)、米財務省証券3ヵ月利回り(左軸、%)
S&P500種株価指数(右軸、ポイント)、期間:2000年1月2日~2019年3月25日
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
2007年以降初めて、長期債の利回りが短期債の利回りを下回りました1。これは投資家が望んだ状況とは言えません。
つまり、逆イールドカーブ(もしくはイールドカーブのフラット化)は、歴史的に見て信用できるリセッションならびに株式市場の下落のサインとなっているからです。例えば米国では、過去7回の景気後退は、イールドカーブの逆転の後に起こっています。
しかしながら、急激な景気後退が差し迫っているわけではないものの、投資家は対応策を講じるのにのんびりしているヒマはありません。
この状況を理解するために、イールドカーブの逆転が、実際に何を示しているかについて、しっかり理解する必要があります。
イールドカーブは、国の生産ギャップ、すなわち現在の経済成長率と長期的な潜在成長率との差を表していると見られます。この見方に基くと、イールドカーブのフラット化や逆イールドカーブは、その国の景気がピークを付けている、つまり景気後退へのスタート地点にいることを示していると考えられます。
最近の逆イールドカーブは、2009年から続いてきた景気拡大が最終局面に来たことを示唆していると考えられます。歴史をひも解くと、米国は今後18~24ヵ月のうちに景気後退局面となり、今後5年間のインフレ率調整後の経済成長率は0.5%になると見られます。
この景気後退によって、株式市場は中長期的に下落すると見られます。
各資産クラスのリターンを予測するモデルにおいて、イールドカーブは一つの変動要因にしか過ぎませんが、米財務省証券3ヵ月物の金利を、米10年国債の金利が下回るという逆イールドカーブは、今後5年間、株式市場のリターンが1%程度であることを示唆しています。これは、過去5年間の平均リターン11%から大きく低下した水準となっています。
過去において逆イールドカーブは、経済成長と株式市場によって悪い知らせでした。現在、過去と同様の状況になっていることに疑う余地はないかもしれません。
1. 米財務省証券3ヵ月ものと米10年国債の利回りに基く。
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