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- 4月4日 新興国マクロ Weekly
新興国の経済動向や金融政策をピクテの新興国債券チームが解説します。
-経済動向
中国PMIの動向
3月の中国NBS製造業PMIとCaixin製造業PMIが公表されましたが、ヘッドライン値は両指数とも市場コンセンサス以上に悪化し、ともに50の大台を割り込む結果となりました。このことは、中国における製造業部門の活動が大幅に鈍化したことを示唆しています。外部環境に目を向けると、ロシア・ウクライナ情勢をめぐる地政学的リスクの高まりを背景に輸出が減速しており、また、国内要因としては、中国本土における急速なCOVID-19の感染拡大を抑えるための厳格な移動制限策が生産指数の重荷となり、企業の信頼感が悪化しました。Caixin調査では、新規受注が6.1pts悪化するなど、より先行性の高いファクターで鈍化傾向が見られています。サプライチェーン問題も悪化しているようで、両調査において、入荷遅延が目立ち始めています。一方、世界的なコモディティ価格の上昇を背景に原材料コストは上昇を続けており、特に川下企業へのマージン圧力が強まっています。
3月の中国NBS非製造業PMIもまた市場予想を下回り、50の大台を割り込みました。国内旅行、外食、娯楽関連など、COVID-19感染拡大に伴う消費サービス支出の弱さが目立っている状況です。また、新規受注は減少幅が拡大し、サービス需要の低迷が続いていることを示唆しています。他方、建設活動は58.1まで上昇しており、インフラを中心とした固定資産投資への政策的なサポートの効果が反映されたものと考えられます。
南アフリカ、タイの貿易収支・経常収支
南アフリカの貿易黒字は市場予想を下回りましたが、前月比では大幅に増加しました。ロシア・ウクライナ情勢の深刻化を背景としたコモディティ価格の上昇にサポートされ、堅調な輸出の伸びを記録しましたが、原油価格が上昇したことにより、輸入代金の増加を通じて一部プラスの効果が相殺されました。
タイでは、輸入の伸びがやや緩やかになった一方で、輸出が力強い伸びを記録したことから、経常収支赤字は市場コンセンサス以上に縮小する結果となりました。
ブラジル、ペルーの物価(CPI)動向
3月のFGVブラジルIGP-Mインフレ指数は、ホールセール部門と農産物部門のサブ指数が前月対比で大幅に上昇したことにより、市場予想を上回りました。同様に、消費者物価指数についても食品価格と輸送コストの上方修正に牽引され、市場予想を上回る結果となりました。
ペルーの3月消費者物価指数は市場予想を大幅に上回り、前月比1.48%の上昇となりました。前年同月比で見ると、約24年ぶりの記録的な上昇率となっています。ロシア・ウクライナ問題の波及効果は明らかで、トラック運転手は燃料費上昇に抗議して全国的なストライキを起こしており、また、リマの主要食品流通センターは、ペルーの商品価格が高騰する中で、在庫水準の低さを訴えています。
-金融政策動向
コロンビアでは、中央銀行が100bpsの利上げを行ないましたが、市場が予想していた150bpsの上げ幅を下回りました。インフレリスクは引き続き政策当局にとって重要な懸案事項となっていますが、最近導入された特定品目への減税措置により、5月以降は食品価格の物価上昇率が一服する見込みであるとの見通しが示されました。
チリでは、中央銀行が市場予想の175bpsを下回る150bpsの利上げを実施しました。その後発表された声明では、引き続きインフレリスクの長期化を指摘する一方、成長鈍化リスクが強調されており、今後の利上げペースは緩やかになるであろうことが示唆されました。
タイでは、中央銀行が全会一致で政策金利を0.5%に据え置きましたが、インフレ見通しを大幅に引き上げ、足元のコモディティ価格上昇と観光客数減の影響を反映して、2022年と2023年の経済成長見通しを若干下方修正しました。フォワードガイダンスとしては、インフレリスクと地政学的リスクに注意を払いながらも経済成長を優先させるという、ハト派的なスタンスが維持されました。
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