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- 依然として疑問が残る中国の2022年経済成長見通し
中国の2022年1-3月期のGDP成長率は市場予想を上回りましたが、中国経済に対する短期的な逆風には注意が必要であり、予断を許さない状況です。
中国の2022年1-3月期のGDP成長率は、主として1-2月における好調な企業活動データに牽引され、前年同期比+4.8%と市場予想を上回りました。しかしながら、その成長モメンタムは3月に急速に鈍化する結果となりました。これは、新型コロナウイルスの感染状況が悪化したためであり、中国政府が掲げるゼロ・コロナ政策により、経済活動、とりわけ家計部門の消費が圧迫されているためです。また、不動線セクターについてもほとんど改善が見られていない状況です。
足元で、中国政府と中国人民銀行は政策サポートを強化しています。しかしながら、こうした政策面での緩和策は、経済成長に対する強い逆風を相殺する上で不十分であるように思われます。中国人民銀行は先日、減速する経済を下支えするべく、全銀行を対象に預金準備率(RRR)を0.25%ポイント引き下げると発表しましたが、政策金利(MLF金利)は2.85%に据え置かれました。このことは、中国人民銀行が大規模な金融刺激策に頼ることに対して消極的な姿勢であることを示唆しているといえます。
にもかかわらず、中国政府が内国経済を安定させ、年率5.5%という2022年の野心的なGDP成長率目標の達成を確実なものとするために、近々にもさらなるマクロ支援政策が打ち出されることが見込まれます。特に、財政刺激策は、インフラ投資と家計消費を支える上で重要な役割を果たすでしょう。また、最近の新型コロナウイルスの感染拡大により特に顕著な悪影響を受けた中小ビジネスやセクターを支援するために、より対象を絞った金融政策ツールが活用されることも期待されます。
しかし、おそらくより重要なのは、中国政府が現在のゼロ・コロナ政策からの適切な出口を見つけることです。上海での失敗は、どんなに厳格な移動制限策を導入したとしてもウイルスを完全に駆逐することは難しく、都市封鎖による経済的・社会的負担が極めて大きいということを物語っています。今のところ、中国政府が近いうちにゼロ・コロナ政策を撤回するという具体的な足掛かりは見られていませんが、この点は一年を通じて、注目すべき極めて重要な要素となるでしょう。
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