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- 欧州連合(EU)がロシア依存からの脱却のためのエネルギー転換計画「REPowerEU」計画を公表
2022年5月18日、欧州委員会は、ロシア依存からの脱却のためのエネルギー転換計画「REPowerEU」計画の詳細を発表しました。
2022年5月18日、欧州委員会は「REPowerEU」計画の詳細を公表しました。欧州のエネルギー転換を加速し、ロシアの化石燃料への依存を減らすためのロードマップでは、現在から2027年までに2100億ユーロを投じられることになっています。なお資金の大半は復興レジリエンス・ファシリティー(RRF)の融資がすでに利用可能な状態となっています。
「REPowerEU」計画で採用された主な関連施策の概要は以下の通りです。
【 再生可能エネルギー】
発電、産業、建物、輸送における再生可能エネルギーの利用を大幅に拡大し、エネルギーの自立性を高めることが含まれており、2030年までに再生可能エネルギーの目標を45%(現在は15%)に引き上げる。
これには以下のような項目が含まれます。
・2025年までに太陽光発電の容量を倍増させ(今後3年間で、現在すでに利用可能な容量と同程度の容量を設置することを意味します)、2030年までに容量をほぼ4倍に。2030 年までの新たな目標は、「Fit for 55 パッケージ(2030年の温室効果ガス削減目標、1990年比で少なくとも55%削減を達成するための政策パッケージ)」(2021年7月14日発表)の当初の太陽光発電の目標に比べ 43% 増加しており、太陽光発電の普及を大幅に加速させる。
・2027 年までにすべての(既存および新規の)公共・商業施設に、2029 年までにすべての新規住宅にソーラー パネルを設置する法的義務を段階的に課す「ソーラー屋上イニシアチブ」を実施。
・再生可能エネルギープロジェクトの許可プロセスの短縮化、簡略化。
【エネルギー効率化】
長期的なエネルギー効率化対策を全体的に強化し、EU 全体のエネルギー効率化目標を 9%から 13%に引き上げる。
関連する措置は以下の通りです。
・ 建物:ヒートポンプの年間導入計画を、今後5年間で 2 倍に。
・ 運輸: 欧州委員会は、貨物輸送部門のエネルギー効率を大幅に向上させることを目的としたパッケージを提示する予定。また、公共交通機関におけるゼロエミッション車の割合を増やすための法案や、2035年から内燃機関車とディーゼル車の新車販売を禁止する可能性も検討。
【グリーン水素と産業の脱炭素化】
・脱炭素化が困難な産業において天然ガス、石炭、石油に代わるものとして、2030年までに再生可能な水素の国内生産量を1,000万トン、輸入量を1,000万トンとする目標を設定。
・欧州委員会は、産業界におけるグリーン水素の導入をサポートするためのさまざまなインセンティブを展開し、イノベーション・ファンド(革新的な低炭素技術の実証を目的とした世界最大級の資金調達プログラム)の下ですでに前倒しされた約30億ユーロのプロジェクトとともに、産業の脱炭素化を促進。
【天然ガス輸入先の多様化】
採択された計画においては、国際的なパートナーと協力し、ロシア以外からの天然ガス、LNG(液化天然ガス)の調達先の多様化を定めている。
今後、政府、企業、消費者の間では、脱炭素化という喫緊の課題に加え、エネルギーの自立と安全保障が引き続き最重要課題となると思われます。そのためには、エネルギー供給(再生可能エネルギー)だけでなく、輸送におけるe-モビリティ、建物におけるエネルギー効率化やヒートポンプ、産業における低CO2生産プロセスや全く新しい製造、自動化、AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)、エネルギー貯蔵の利用など、幅広い分野でのエネルギー転換が必要となります。
このような長期のトレンドは、基本的な原動力によって強くサポートされています。
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