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2022年4月の新興国株式市場と今後の見通し
2022/05/11

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概要

2022年4月の新興国株式市場(MSCI新興国株価指数、現地通貨ベース)は月間で下落となりました。
主要国別の市場動向、今後の見通しについてご紹介いたします。
※記載内容はすべて海外市場の月末1営業日前ベースでのコメントになります。



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2022年4月の新興国株式市場

新興国株式市場は、月間を通して下落基調となりました。ウクライナ情勢の深刻化に加えて、米国がインフレ抑制のために積極的な金融引き締めを行うとの観測がいっそう強まったことや、中国における新型コロナウイルスの感染再拡大を受けて、上海に続き北京でも都市封鎖(ロックダウン)が実施されたことなどを背景に、世界経済の先行きに不透明感が強まりました。また、米長期金利の急上昇や米ドル高の進行などを受けて、投資家が新興国市場からの資金引き揚げの動きを加速させるとの見方も、マイナス材料となりました。

主要国別、セクター別の動き

国別(現地通貨ベース)では、インドは公益事業や消費関連セクターの銘柄が堅調であった一方、世界的なハイテク株安の流れや主要ITサービス企業の予想を下回る決算発表などを受けて、情報技術セクターの銘柄が下落したことが響き、全体でも下落となりました。韓国は、新型コロナウイルスの新規感染者数が減少傾向となったことは安心材料となりましたが、世界的なハイテク株安の流れを受けて、主力の情報技術セクターの銘柄を中心に下落しました。南アフリカは、世界的な金利上昇の中で金価格が下落したほか、主要鉱山企業が豪雨の影響などから生産見通しの下方修正を発表したことなどがマイナス材料となり、素材セクターを中心に下落しました。ブラジルは、最大の貿易相手国である中国の景気減速懸念などを受けて、素材セクターなどを中心に下落しました。台湾は、世界的なハイテク株安の流れを受けて、主力の半導体や電子部品などをはじめとした情報技術セクターの銘柄を中心に大きく下落したほか、国内の新型コロナウイルスの感染再拡大もマイナス材料となりました。中国は、景気刺激策への期待などを受けて上昇する局面もありましたが、主要都市でのロックダウンにより景気減速懸念が強まったほか、金融緩和期待の後退などがマイナス材料となり、下落しました。

セクター別(現地通貨ベース)では、公益事業は上昇しましたが、その他セクターは全て下落しました。その中では、エネルギーや生活必需品は下落率が相対的に小幅に留まった一方、情報技術の下落率が相対的に大きくなりました。

今後の見通し

長期的には、新興国経済は、若い労働人口が豊富であることなどを背景に、中間所得層の持続的な拡大や構造変化に後押しされ、先進国を凌ぐ成長力を有しているとの見方には変更ありません。

 

短期的には、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻によって、新興国のみならず世界経済の先行き不透明感は足元で増しており、当面は注視が必要であると考えます。ただし、コロナ禍からの経済再開の中で資源価格はこれまでも上昇基調にありましたが、資源高にはさらに拍車がかかるとみられ、新興国の中でも資源国についてはプラスの恩恵を受ける可能性もあるとみています。

また、インフレ抑制に向けた米国のより積極的な金融引き締め姿勢なども、今後の経済活動に短期的にはマイナスの影響を及ぼす可能性があり、注視が必要です。さらに、新型コロナウイルスの感染再拡大によって経済へのマイナスの影響も懸念されています(特に中国)。しかし、これらのことは、新興国の中長期的な経済成長見通しには大きな影響を及ぼさないと考えています。

 

アジアを中心に新興国は「デジタル化」や「テクノロジー」の分野をけん引する存在であるとともに、脱炭素など世界的な環境課題においても、CO2(二酸化炭素)排出削減などで重要な役割を担いつつあるとみており、これまで見過ごされてきた、あるいは新たな価値の発掘につながる可能性があると期待しています。

新興国株式のバリュエーション(投資価値評価)については、先進国株式に比べて依然として魅力的な水準にあり、新興国株式市場を下支えする材料になると考えられます。また、新興国通貨についても、引き続き米ドルに比べて相対的な割安感があるとみています。

(※将来の市場環境の変動等により、上記の内容が変更される場合があります。)

 


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