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- 2022年7月の新興国株式市場と今後の見通し
7月の新興国株式市場(MSCI新興国株価指数、現地通貨ベース)は月間で下落となりました。主要国別の市場動向、今後の見通しについてご紹介いたします。
※記載内容はすべて海外市場の月末1営業日前ベースでのコメントになります。
2022年7月の新興国株式市場
新興国株式市場は月半ばにかけて、米国の利上げによる景気後退(リセッション)懸念の高まりなどを背景に、リスク回避の動きが強まったことなどから、下落基調となりました。月初に発表された米国の経済指標が堅調で、米金融当局がインフレ抑制に向けて今後さらなる金融引き締めを行うとの見方が強まりました。また、米国の6月の消費者物価指数(CPI)が前年比で大幅上昇となったことも、懸念に拍車をかけました。その後、米金融当局が0.75ポイントの大幅利上げを決定しました。月末にかけては景気後退懸念がさらに高まったことや一部の経済指標でインフレ鈍化を示唆する内容が示され、利上げペースの加速に対する過度な懸念が和らいだことに加え、良好な企業決算などを受けて概ね底堅い推移となりました。
主要国別、セクター別の動き(現地通貨ベース)
国別(現地通貨ベース)では、インドは、良好な決算発表が相次いだ金融セクターなどを中心に上昇しました。韓国は、国内の景況感悪化や新型コロナウイルスの新規感染者数の急増といった悪材料が重荷となりましたが、月半ば以降は米国市場の反発などを受けて、主力の情報技術セクターを中心に上昇しました。ブラジルは、予想を上回る決算と増配の発表などを受けて、主力のエネルギー企業の株価が大きく上昇したことなどがけん引し、上昇となりました。南アフリカは、米国をはじめとした景気悪化による需要減退懸念などを受けて資源価格が下落したことなどから、素材セクターが下落した一方、良好な決算を発表した消費関連銘柄などを中心に上昇しました。台湾は、月初に大幅安となったものの、その後は米国市場の反発の流れや国家金融安定基金による株式市場への介入決定などを受けて、主力の情報技術セクターを中心に反発しました。中国は、テクノロジー企業に対する規制懸念が再燃したことに加えて、不動産開発企業の資金難で工事が中止され、引き渡しの目処がたたない住宅の購入者が住宅ローンの支払いを拒否する動きが広まり、不動産セクターがさらなる苦境に立たされるとの見方や、この影響は金融セクターなどにも波及するとの懸念も高まり、下落しました。
セクター別(現地通貨ベース)では、公益事業、ヘルスケア、生活必需品などのディフェンシブ性(相対的に景気変動に影響されにくい)が高いセクターが相対的に堅調であったほか、情報技術も上昇しました。一方、不動産、一般消費財・サービス、コミュニケーション・サービスなどは相対的に下落率が大きくなりました。
今後の見通し
長期的には、新興国経済は、若い労働人口が豊富であることなどを背景に、中間所得層の持続的な拡大や構造変化に後押しされ、先進国を凌ぐ成長力を有しているとの見方には変更ありません。
足元では、ウクライナ情勢の長期化や、世界的なインフレの高止まり、米国をはじめとした主要中央銀行による金融引き締めの動きなどを背景に、世界経済の先行き不透明感が増しています。こうしたことは、短期的には新興国にもマイナスの影響を与える懸念があります。しかし、中長期的な経済成長見通しに大きな影響を及ぼさないと考えています。
アジアを中心に新興国は「デジタル化」や「テクノロジー」の分野をけん引する存在であるとともに、脱炭素など世界的な環境課題においても、CO2(二酸化炭素)排出削減などで重要な役割を担いつつあるとみており、これまで見過ごされてきた、あるいは新たな価値の発掘につながる可能性があると期待しています。
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