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- 米国の対中貿易政策の行方
今後数ヵ月のうちに、米国がトランプ政権時に、中国からの輸入品に対して発動された追加関税の多くが期限満了を迎えます。米国の対中貿易政策の行方について、ピクテの新興国株式運用チームの見方をご紹介します。
今後数ヵ月のうちに、米国がトランプ政権時に、中国からの輸入品に対して発動された追加関税の多くが期限満了を迎えます。そのため、今後、米国において追加関税の撤廃や軽減などを巡る議論が活発となることが予想されます。
近く、バイデン大統領は中国の習国家主席との首脳会談を行う可能性を示唆しており、こうした状況にも注視していく必要がありますが、米国の対中貿易政策の行方を見極める上で重要と思われるポイントは以下の通りです。
米国のインフレ問題
バイデン政権の経済問題における目下の最重要課題は、インフレを抑えることです。
政権運営上、今年11月の中間選挙を前に中国に対する姿勢を軟化させることで、労働組合や産業界から非難を浴びることは避けたいはずです。このため、中国からの輸入品への追加関税は完全撤廃することはなく、限定的な撤廃や軽減に留まる可能性が高いとみています。
追加関税は、輸入価格を上昇させます。上昇分は最終価格へと転嫁され、インフレ圧力を高める要因となります。ただし、すべての追加関税が撤廃されても、消費者物価指数(CPI)は0.26%程度低下するにすぎないとみられます。
対象を絞った撤廃または軽減の可能性
追加関税の撤廃あるいは軽減の対象を消費財に絞ることで、より効果的にCPIを低下させることができるかもしれません。アパレルやスポーツ用品などの消費財は、追加関税の撤廃あるいは軽減の対象となる可能性が高いと考えられます。一方、米国内の雇用を守るため、高度なテクノロジーをベースとした製品や機械、機器などは対象外となるとみられます。
追加関税以外の手段の強化
また、中間選挙前に、中国に対して新たなる経済制裁を課す可能性があります。これには、イノベーションや高度なテクノロジーの分野において、中国に対して米国の優位性を維持し続けることを意図し、「エンティティ・リスト」(米国の安全保障・外交政策上の利益に反する懸念がある個人や企業などを掲載したリスト)や「未検証エンドユーザーリスト」(米国商務省が許可前のチェックや出荷後検証の実施によって貿易管理品目の最終用途や最終需要者の正当性・信頼度が検証できない個人や企業などを掲載したリスト)などによる規制も含みます。こうした制裁により、バイデン政権は中国に対して厳しいスタンスを維持する可能性が高いとみています。
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