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2022年8月の新興国株式市場と今後の見通し
2022/09/07

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概要

8月の新興国株式市場(MSCI新興国株価指数、現地通貨ベース)は月間で下落となりました。主要国別の市場動向、今後の見通しについてご紹介いたします。
※記載内容はすべて海外市場の月末1営業日前ベースでのコメントになります。



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2022年8月の新興国株式市場

8月の新興国株式市場(現地通貨ベース)は月間で小幅上昇となりました。

新興国株式市場は月初、米下院議長の台湾訪問を受けて、米中間の緊張が高まるとの懸念などから低調なスタートとなりました。月半ばには、米消費者物価指数(CPI)の上昇が鈍化したことを受けて、米国の積極的な利上げ懸念が後退したことや、中国の景気刺激策発表などがプラス材料となり、上昇しました。その後は米国の経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」を控え、金融政策を巡る思惑に左右される展開が続きました。同会議では、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が経済成長を犠牲にしてもインフレ抑制のため積極的な利上げを継続する姿勢を示唆したことで、株式市場は大きく下落する場面もありましたが、月間では小幅上昇となりました。

主要国別、セクター別の動き(現地通貨ベース)

国別(現地通貨ベース)では、ブラジルは、ブラジル中央銀行による積極的な利上げサイクルの終了が近いとの見方から、景気の先行き懸念が後退したことを受けて、金融セクターなどを中心に上昇しました。インドも、金融セクターを中心に上昇しました。台湾は、月半ばに主力の情報技術セクターなどを中心に上昇したものの、米下院議長の訪台に関連した地政学リスクの高まりや、月後半の米ハイテク株安の流れを受けて、月間ではほぼ横ばいとなりました。南アフリカは、金価格の下落などを背景に素材セクターを中心に下落しました。韓国は、韓国銀行(中央銀行)による金融引き締めが重荷となったほか、米ハイテク株安の流れを受けて、主力の情報技術セクターを中心に下落しました。中国は、景気刺激策が下支え材料となった一方、台湾問題を巡る米中関係の緊迫化や、不動産信用問題の再燃、根強い景気減速懸念の高まりなどが重荷となりました。

セクター別(現地通貨ベース)では、エネルギーや公益事業などが上昇しました。一方、ヘルスケア、情報技術などは下落しました。

今後の見通し

長期的には、新興国経済は、若い労働人口が豊富であることなどを背景に、中間所得層の持続的な拡大や構造変化に後押しされ、先進国を凌ぐ成長力を有しているとの見方には変更ありません。

足元では、ウクライナ情勢の長期化や、世界的なインフレの高止まり、米国をはじめとした主要中央銀行による金融引き締めの動きなどを背景に、世界経済の先行き不透明感が増しています。こうしたことは、短期的には新興国にもマイナスの影響を与える懸念があります。しかし、中長期的な経済成長見通しに大きな影響を及ぼさないと考えています。

アジアを中心に新興国は「デジタル化」や「テクノロジー」の分野をけん引する存在であるとともに、脱炭素など世界的な環境課題においても、CO2(二酸化炭素)排出削減などで重要な役割を担いつつあるとみており、これまで見過ごされてきた、あるいは新たな価値の発掘につながる可能性があると期待しています。

新興国株式のバリュエーション(投資価値評価)については、先進国株式に比べて依然として魅力的な水準にあり、新興国株式市場を下支えする材料になると考えられます。新興国通貨についても、引き続き米ドルに比べて相対的な割安感があるとみています。


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