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2022年12月の新興国株式市場と今後の見通し
2023/01/12

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概要

12月の新興国株式市場(MSCI新興国株価指数、現地通貨ベース)は月間で下落となりました。主要国別の市場動向、今後の見通しについてご紹介いたします。
※記載内容はすべて海外市場の月末1営業日前ベースでのコメントになります。



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2022年12月の新興国株式市場

新興国株式市場は月前半、中国のゼロコロナ政策緩和への期待感などが追い風となり、底堅い推移となりました。その後、米金融当局は事前予想通り利上げペースを減速させたものの、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長が改めてタカ派的な姿勢を示しました。こうしたことを受けて、米長期金利が上昇したことなどがマイナス材料となり、下落基調に転じました。さらに月後半も、当面、米国をはじめ主要国の金利は高い水準にとどまるとの見方や、景気後退懸念の高まりなどから、米国のハイテク銘柄が大幅安となったことや、中国の新型コロナウイルスの感染拡大懸念の高まりといった悪材料が重なり、月間でも下落となりました。しかし、中国の経済再開による恩恵への期待感などが下支えとなり、先進国株式に比べると下落率は小幅にとどまりました。

主要国別、セクター別の動き(現地通貨ベース)

国別(現地通貨ベース)では、中国は、ゼロコロナ政策の緩和で経済再開による恩恵への期待感が高まったことが大きな追い風となり、上昇しました。南アフリカは、主力のインターネット関連企業などは上昇した一方、月初に汚職疑惑からラマポーザ大統領が弾劾リスクに直面し、政治的不透明感が高まったことなどを受けて金融セクターを中心に大きく下落したことが響き、市場全体では下落となりました。ブラジルは、中国の経済再開期待などから鉄鉱石価格が上昇したことが追い風となった主力の素材企業を中心に月後半にかけて反発したものの、ルラ次期大統領政権下で財政が悪化するとの懸念などが株価の重荷となり月間では下落となりました。インドは、米国をはじめ主要中央銀行による金融引き締めが長期化するとの見方を受けて資金流出懸念が高まったほか、一部のITサービス企業が慎重な業績見通しを発表したことや、米ハイテク株安といった流れを受けて情報技術セクターなどを中心に下落しました。台湾や韓国は、半導体市況の悪化懸念や米ハイテク株安などを受けて、主力の情報技術セクターを中心に下落し、新興国の中でも下落率が相対的に大きくなりました。

セクター別(現地通貨ベース)では、コミュニケーション・サービスや一般消費財・サービスなどが大きく上昇したほか、生活必需品やヘルスケアも相対的に底堅い推移となりました。一方、情報技術は大幅下落となったほか、エネルギー、不動産なども下落しました。

今後の見通し

長期的には、新興国経済は、若い労働人口が豊富であることなどを背景に、中間所得層の持続的な拡大や構造変化に後押しされ、先進国を凌ぐ成長力を有しているとの見方には変更ありません。

ウクライナ情勢の長期化に加えて、世界的なインフレ、米国をはじめとした主要中央銀行による金融引き締めが長期化するとの見方などは、依然として世界経済の先行きに影を落としています。こうしたことは、短期的には新興国にもマイナスの影響を与える懸念があります。

一方、新興国株式のバリュエーション(投資価値評価)は、先進国株式に比べて依然として魅力的な水準にあり、新興国株式市場を下支えする材料になると考えられます。新興国通貨についても、引き続き米ドルに比べて相対的な割安感があるとみています。

 

特に中国株式のバリュエーション水準は低位にありますが、ゼロコロナ政策の終了による経済再開や低迷する不動産セクターへの支援策などを受けて、中国経済の回復期待が高まっています。中国の経済正常化の道のりは平坦なものではないとみられますが、多くの投資家が中国経済に対して明るい見通しを持ち始めていることは、中国株式の下支えとなると考えられます。

アジアを中心に新興国は「デジタル化」や「テクノロジー」の分野をけん引する存在であるとともに、脱炭素など世界的な環境課題においても、CO2(二酸化炭素)排出削減などで重要な役割を担いつつあるとみており、これまで見過ごされてきた、あるいは新たな価値の発掘につながる可能性があると期待しています。


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