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- 2023年1月の新興国株式市場と今後の見通し
2023年1月の新興国株式市場(MSCI新興国株価指数、現地通貨ベース)は月間で上昇となりました。主要国別の市場動向、今後の見通しについてご紹介いたします。
※記載内容はすべて海外市場の月末1営業日前ベースでのコメントになります。
2023年1月の新興国株式市場
新興国株式市場は月前半、中国のゼロコロナ政策終了による経済再開への期待や、低迷する不動産セクターに対する支援策などが追い風となり、上昇しました。月半ばには、米国のインフレ率の伸びが鈍化し、利上げペースが緩和するとの期待も、株価の支援材料となりました。その後も、米国の金利低下により、米ハイテク銘柄の株価が反発した流れを受けて、新興国のハイテク銘柄も大きく反発したほか、中国の春節休暇中の消費好調が伝えられたことなどもあり、月末にかけても概ね上昇基調が続きました。
主要国別、セクター別の動き(現地通貨ベース)
国別(現地通貨ベース)では、台湾は、中国の経済再開の恩恵を受けるとの期待に加えて、米ハイテク株高の流れを受けて、主力の情報技術セクターを中心に大きく上昇しました。中国は、ゼロコロナ政策の終了による経済再開への期待や、不動産セクターに対する支援策、テクノロジー企業に対する規制強化の流れの一巡感などを背景に、大きく上昇しました。韓国は、主力の情報技術セクターを中心に上昇しました。南アフリカは、主力のインターネット関連企業の株価上昇が大きなけん引役となったほか、資源価格の上昇なども追い風となり、上昇しました。ブラジルは、中国の経済再開期待を受けた資源高などが追い風となり、上昇しましたが、ボルソナロ前大統領の支持者による議会襲撃事件やルラ新大統領の経済政策を巡る不透明感といった政治動向が株価の重荷となる局面もあり、上昇率は相対的に小幅にとどまりました。一方、インドは、新興財閥のグループ企業における不正会計疑惑などを受けて、同グループ企業や取引のある銀行などを中心に株価が大きく下落したことが響き、下落となりました。
セクター別(現地通貨ベース)では、公益事業以外の全てのセクターが上昇しました。中でも、情報技術、コミュニケーション・サービス、一般消費財・サービスは大きく上昇しました。一方、エネルギー、生活必需品、金融などは相対的に小幅な上昇にとどまりました。
今後の見通し
長期的には、新興国経済は、若い労働人口が豊富であることなどを背景に、中間所得層の持続的な拡大や構造変化に後押しされ、先進国を凌ぐ成長力を有しているとの見方には変更ありません。
米国のインフレの伸びはピークを迎えつつあるとみられます。米国の利上げサイクルの終了も視野に入りつつあり、米ドルの一段高の可能性も後退すると考えられます。こうした流れは新興国株式市場の追い風になると考えられます。
新興国株式のバリュエーション(投資価値評価)は、先進国株式に比べて依然として魅力的な水準にあります。ゼロコロナ政策の終了による中国の経済再開により、企業業績の回復や周辺国・地域経済へのプラスの恩恵などが期待されますが、これらのプラス材料は株価に十分には織り込まれていないとみています。
中国の経済正常化の道のりは平坦なものではないとみられますが、多くの投資家は中国経済に対して、より明るい見通しを持ち始めています。こうした状況を踏まえると、今後数ヵ月の株価下落局面は、新たな投資の機会となる可能性もあると考えます。
アジアを中心に新興国は「デジタル化」や「テクノロジー」の分野をけん引する存在であるとともに、脱炭素など世界的な環境課題においても、CO2(二酸化炭素)排出削減などで重要な役割を担いつつあるとみており、これまで見過ごされてきた、あるいは新たな価値の発掘につながる可能性があると期待しています。
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