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2023年4月の新興国株式市場と今後の見通し
2023/05/10

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概要

4月の新興国株式市場(現地通貨ベース)は月間で下落となりました。主要国別の市場動向、今後の見通しについてご紹介いたします。
※記載内容はすべて海外市場の月末1営業日前ベースでのコメントになります。



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2023年4月の新興国株式市場

新興国株式市場は月半ばにかけて、3月に発生した欧米の金融不安を受けた急落からの回復の流れが続いたことに加えて、3月の米消費者物価指数(CPI)の伸びが減速を示し、米金融当局による積極的な金融引き締めへの懸念が和らいだことなどが追い風となり、概ね上昇基調となりました。その後は、米国をはじめ先進国の金融政策の方向性を巡る思惑や、米バイデン政権によるハイテク分野での新たな対中投資規制の検討が伝えられ、米中対立懸念が再燃したことなどが重荷となり下落基調に転じました。さらに、月後半には、米地銀の健全性を巡る懸念が再び高まり、投資家のリスク回避の動きが強まったことも加わり、月間では下落となりました。

国別(現地通貨ベース)では、インドは、予想を下回る決算を発表したITサービス関連企業などは下落したものの、好決算を発表した金融セクターの銘柄などを中心に上昇しました。また、インド準備銀行(中央銀行)が予想外に政策金利を据え置いたことや、3月の消費者物価指数(CPI)の伸びが鈍化し、インフレ目標上限を下回ったことなども、追い風となりました。韓国は半導体や電池、人工知能(AI)などの分野における研究開発への大規模投資などを含む政策期待を受けて、情報技術や素材セクターなどを中心に上昇しました。南アフリカは、金価格の上昇などを受けて素材セクターを中心に上昇しました。一方、ブラジルは、中国の鉄鋼需要低迷を背景とした鉄鉱石価格の下落を受けて、主力の素材銘柄などを中心に下落となりました。台湾は、世界的な半導体需要低迷への懸念を受けて、主力の半導体銘柄を中心に下落となりました。中国は大型ネット関連銘柄などの下落率が大きくなったことや、米中対立を巡る見方なども重荷となり、下落となりました。

主要国別、セクター別の動き(現地通貨ベース)

セクター別(現地通貨ベース)では、エネルギー、金融、ヘルスケアなどが上昇した一方、コミュニケーション・サービス、一般消費財・サービス、情報技術などが下落しました。

長期的には、新興国経済は、若い労働人口が豊富であることなどを背景に、中間所得層の持続的な拡大や構造変化に後押しされ、先進国を凌ぐ成長力を有しているとの見方には変更ありません。

今後の見通し

米国のインフレの伸びはピークを迎えつつあるとみられます。米国の利上げサイクルの終了も視野に入りつつあり、米ドルの一段高の可能性も後退すると考えられます。こうした流れは新興国株式市場の追い風になると考えられます。

新興国株式のバリュエーション(投資価値評価)は、先進国株式に比べて依然として魅力的な水準にあります。ゼロコロナ政策の終了による中国の経済再開により、企業業績の回復や周辺国・地域経済へのプラスの恩恵などが期待されますが、これらのプラス材料は依然として株価に十分には織り込まれていないとみています。

中国の経済正常化の道のりは平坦なものではないとみられますが、多くの投資家は中国経済に対して、より明るい見通しを持ち始めています。こうした状況を踏まえると、今後株価が下落した場合には、新たな投資の機会となる可能性もあると考えます。

アジアを中心に新興国は「デジタル化」や「テクノロジー」の分野をけん引する存在であるとともに、脱炭素など世界的な環境課題においても、CO2(二酸化炭素)排出削減などで重要な役割を担いつつあるとみており、これまで見過ごされてきた、あるいは新たな価値の発掘につながる可能性があると期待しています。

(※将来の市場環境の変動等により、上記の内容が変更される場合があります。)


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