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- 新興国株式市場のアップデート(2023年5月)
足元の新興国株式市場について、押さえておきたいポイントをさまざまな観点からアップデートしていきます。
■ 全体
新興国株式市場は、時価総額が最も大きい中国を中心に、米国などの利上げの影響や中国共産党大会での政策リスクを懸念し昨年8月中旬から10月末にかけて下落した後、中国のゼロコロナ政策の緩和や不動産市場対策などを好感して上昇しました。今年2月には、米国で予想を上回る強い経済指標が発表されたことを背景に米長期金利上昇や米ドル高が進行したことなどから下落基調となりましたが、3月下旬以降には、米長期金利が低下に転じたことなどから、新興国株式市場は反発しました。ただし4月以降には、米中対立懸念などを背景に上値の重い展開となっています。
足元では米国の成長株の上昇を背景に先進国株式の堅調な展開が継続しており、新興国株式は先進国株式との比較では苦戦しています。
■ グロース/バリュー
昨年10月以降はグロース(相対的に成長性の高い)銘柄が見直される局面もありましたが、昨年来のバリュー(相対的にバリュエーションの低い)銘柄の優位が継続しています。
■ 主要国の動き
中国は、昨年10月以降のゼロコロナ政策の緩和や不動産市場対策などを好感した上昇が一巡した後は、景気回復ペースの鈍さや米国のハイテク分野での対中投資規制への懸念などから、調整局面が続いています。
ブラジルは昨年10月の大統領選を経て、財政政策への不安感などから調整しましたが、今年3月には米ドル高一服からブラジルレアルが堅調となり株価も反発に転じました。4月には中国の鉄鉱石などの資源需要の鈍化などを背景に調整する局面もありましたが、堅調な展開となっています。
インドでは新興財閥のアダニ・グループの不正会計疑惑による海外資金の流出懸念などが株式市場の上値を抑える要因となっていました。4月には消費者物価指数の伸び鈍化や政策金利が引き上げられなかったことなどから上昇に転じています。
南アフリカは、2月に深刻な電力不足から非常事態宣言が出され、景気後退懸念から南アフリカランドが下落基調となっており、軟調な展開が続いています。
■ セクター(業種)の動き
過去1年程度を通してみると、エネルギーは中国の原油需要の増加を見込み、中国の大手エネルギー銘柄が堅調で、生活必需品はインド、メキシコの食品や食品小売りなどが上昇し、両セクターは小幅な上昇となっています。一方、不動産は中国の銘柄が苦戦し、公益事業はインドのアダニ・グループの電力やガスなどの銘柄が同グループの不正会計疑惑を背景に下落しました。
■ 商品市況の動き
新興国の中には、資源国も多く商品市況には注意が必要です。新興国株式市場に加えて原油及び銅の過去10年の価格の推移について大きな流れを見ておきます。
2020年のコロナショックによる下落を経て、原油や銅の価格は上昇基調となりました。その後、2022年に入り、米国の政策金利が引き上げられる中で景気減速懸念から下落しました。銅は昨年後半に反転上昇となりましたが、足元では下落に転じています。原油は軟調な展開が継続しています。
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