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新興国株式市場のアップデート(2023年6月) 
2023/06/26

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概要

足元の新興国株式市場について、押さえておきたいポイントをさまざまな観点からアップデートしていきます。



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■   全体

新興国株式市場は、時価総額が最も大きい中国を中心に、昨年10月の中国共産党大会での政策リスクや米国などの利上げを懸念して下落した後、今年に入ってからは、中国のゼロコロナ政策の緩和や不動産市場対策などを好感して上昇しました。2月には米国で予想を上回る強い経済指標が発表されたことを背景に米長期金利の上昇や米ドル高が進行したことなどから下落基調となりましたが、3月下旬以降は、米長期金利が低下に転じたことなどから、新興国株式市場も反発しました。さらに5月には半導体市況の回復期待やAI(人工知能)関連株ブームなどを受けて世界的にハイテク関連株高となり、ハイテク関連銘柄を主力とする台湾や韓国の株式市場を中心に堅調となりました。

新興国株式は先進国株式との比較では苦戦しています。米国の成長株を中心した上昇で先進国株式が堅調な展開が継続していることが背景です。ただし、足元では新興国優位の展開へ反転の兆しも見られます。



■   グロース/バリュー

昨年来、総じてバリュー(相対的にバリュエーションの低い)銘柄の優位が続いてきましたが、5月には半導体市況の回復期待やAI(人工知能)関連株ブームなどを受けて世界的にハイテク関連株高となり、新興国株式市場においてもハイテク関連中心にグロース(相対的に成長性の高い)銘柄優位に転じています。



■   主要国の動き

中国は昨年10月以降のゼロコロナ政策の緩和や不動産市場対策などを好感した上昇が一巡した後は、景気回復ペースの鈍さや米国のハイテク分野における対中投資規制への懸念などから、調整局面が続いています。ただし、足元では金融緩和や景気刺激策への期待から反転の動きも見られています。

ブラジルは昨年10月の大統領選を経て、財政政策への不安感などから調整しましたが、3月には米ドル高一服からブラジルレアルが堅調となり株価も反発に転じました。良好な業績を発表した企業や金融セクターなどを中心に堅調な展開が続いています。

インドでは新興財閥のアダニ・グループの不正会計疑惑による海外資金の流出懸念などが株式市場の上値を抑える要因となっていました。4月には消費者物価指数の伸び鈍化や政策金利が引き上げられなかったことなどから上昇に転じています。

南アフリカは、2月に深刻な電力不足から非常事態宣言が出され、景気後退懸念から南アフリカランドが下落基調となり、軟調な展開が続いていました。6月には電力危機解消に向けて中国に支援を要請する方針が示されたことが好感され反転上昇しています。



■   セクター(業種)の動き

エネルギーは中国の原油需要の増加を見込み、中国の大手エネルギー銘柄が堅調でした。生活必需品はインド、メキシコの食品や食品小売りなどが上昇し、両セクターが上昇率上位となっています。一方、不動産は中国の銘柄が苦戦しました。また、公益事業はインドのアダニ・グループの電力やガスなどの銘柄が同グループの不正会計疑惑を背景に下落しました。



■   商品市況の動き

新興国の中には、資源国も多く商品市況には注意が必要です。新興国株式市場に加えて原油及び銅の過去10年の価格推移について大きな流れを見ておきます。

2020年のコロナショックによる下落を経て、原油や銅の価格は上昇基調となりました。その後、2022年に入り、米国の政策金利が引き上げられる中で景気減速懸念から下落しました。銅は昨年後半に反転上昇となりましたが、足元では下落に転じています。原油は軟調な展開が継続しています。




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