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2023年8月の新興国株式市場と今後の見通し
2023/09/07

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概要

8月の新興国株式市場(現地通貨ベース)は月間で下落となりました。主要国別の市場動向、今後の見通しについてご紹介いたします。
※記載内容はすべて海外市場の月末1営業日前ベースでのコメントになります。



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2023年8月の新興国株式市場

新興国株式市場は上旬、格付会社による米国国債の格下げや米国経済の底堅さを示す経済指標の発表などを受けて米長期金利が上昇したことなどを背景に、下落しました。その後も、中国から発表された経済指標が弱い内容であったことや、中国の不動産大手企業の経営危機などから、リスク回避の動きが強まり、下落基調が続きました。月後半にかけては米長期金利の上昇に一服感がみられたことや、中国当局による景気刺激策や株価対策などの政策期待の高まりが追い風となり上昇に転じましたが、月間では下落となりました。

主要国別、セクター別の動き(現地通貨ベース)

国別(現地通貨ベース)では、インドは、相対的に小幅ながら下落となりました。ITサービスを中心とした情報技術セクターは堅調であった一方、インド準備銀行(中央銀行)が預金準備率を引き上げたことなどから銀行銘柄を中心に金融セクターが下落となりました。また、7月のインフレ率が再び加速したことを受けて、インド中銀がタカ派姿勢を強めるとの警戒感もマイナス材料となりました。ブラジルは、中国の政策期待を受けて原油や金属価格が反発したことから、月後半には反発したものの、月間では下落となりました。台湾と韓国は、米長期金利上昇を受けて米ハイテク銘柄が低調となった流れを受けて、主力の情報技術セクターを中心に下落となりました。南アフリカは、主力の素材セクターの銘柄を中心に下落となりました。中国は、月後半に政策期待の高まりを受けて反発したものの、景気先行き懸念や不動産業界の信用不安などが重荷となったことから月間では下落となり、下落率も相対的に大きくなりました。

セクター別(現地通貨ベース)では、エネルギーが相対的に底堅く推移しましたが、それ以外のセクターはすべて下落となりました。特に、コミュニケーション・サービスのほか、不動産、一般消費財・サービスなどの下落率が相対的に大きくなりました。

今後の見通し

長期的には、新興国経済は、若い労働人口が豊富であることなどを背景に、中間所得層の持続的な拡大や構造変化に後押しされ、先進国を凌ぐ成長力を有しているとの見方には変更ありません。

新興国株式のバリュエーション(投資価値評価)は、先進国株式に比べて依然として魅力的な水準にあります。また、インフレの伸び率の鈍化を受けて、米国の利上げサイクル終了が視野に入りつつあることは、一段の米ドル高の可能性を後退させ、新興国市場にとっても追い風となると考えられます。

一方、ゼロコロナ政策終了後の中国経済の回復過程は平坦な道のりではない模様です。また、中国当局の政策動向や、米中関係などに不透明要素も多く残ります。しかし、こうした不透明要素が解消していけば、良好な投資機会が訪れる可能性があるとみています。

さらに、アジアを中心に新興国は「デジタル化」や「テクノロジー」の分野をけん引する存在であるとともに、脱炭素など世界的な環境課題においても、CO2(二酸化炭素)排出削減などで重要な役割を担いつつあるとみており、これまで見過ごされてきた、あるいは新たな価値の発掘につながる可能性があると期待しています。

(※将来の市場環境の変動等により、上記の内容が変更される場合があります。)


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