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- 新興国株式市場のアップデート (2023年9月)
足元の新興国株式市場について、押さえておきたいポイントをさまざまな観点からアップデートしていきます。
■ 全体
新興国株式市場は、同市場の中で時価総額が最も大きい中国を中心に、昨年10月の中国共産党大会での政策リスクや米国などの利上げを懸念して下落した後、中国のゼロコロナ政策の緩和や不動産市場対策などを好感して上昇しました。今年2月には米国で予想を上回る強い経済指標が発表されたことを背景に米長期金利上昇や米ドル高が進行したことなどから下落基調となりましたが、3月下旬以降は、米長期金利が低下に転じたことなどから、新興国株式市場も反発しました。5月にはAI(人工知能)関連株が注目され世界的にハイテク関連株高となり、新興国株式も上昇基調となりましたが、8月に入り米長期金利の上昇や、コロナ後の中国経済の回復が鈍いことなどから反落し、足元、軟調な展開となっています。
新興国株式は先進国株式との比較では苦戦しています。米国の成長株を中心した上昇で先進国株式の堅調な展開が継続していたことが背景です。
■ グロース/バリュー
昨年来、総じてバリュー(相対的にバリュエーションの低い)銘柄の優位が続いてきましたが、5月にはAI(人工知能)関連株が注目され、新興国株式市場においてもハイテク関連中心にグロース(相対的に成長性の高い)銘柄が優位となる局面もありました。しかし、その後は再びバリュー銘柄優位に戻っています。
■ 主要国の動き
中国は昨年10月以降のゼロコロナ政策の緩和や不動産市場対策などを好感した上昇が一巡した後は、景気回復ペースの鈍さや米国のハイテク分野での対中投資規制への懸念などから、調整局面が続いています。金融緩和や不動産投資の促進策などの経済対策がとられているものの、依然として軟調な展開が継続しています。
台湾及び韓国は、5月にAI(人工知能)関連株が注目され、世界的にハイテク関連株高となる中で、主力の半導体関連銘柄を中心に堅調な動きとなりました。足元では米国株式の上値が重い展開の中で、調整局面となっています。
ブラジルは昨年10月の大統領選を経て、財政政策への不安感などから調整しましたが、3月には米ドル高一服からブラジルレアルが堅調となり株価も反発に転じました。良好な業績を発表した企業や金融セクターなどを中心に堅調な展開が続いていますが、足元では米長期金利の上昇などから上値の重い状況です。
インドでは2月の新興財閥のアダニ・グループの不正会計疑惑による海外資金の流出懸念などが株式市場の上値を抑える要因となっていました。4月には消費者物価指数の伸び鈍化や政策金利が引き上げられなかったことなどから上昇に転じています。その後もインド政府が米半導体企業のインド工場建設計画を承認したことなどから、海外からの資金流入の拡大が期待され、概ね堅調な展開が継続しています。
南アフリカは、2月に深刻な電力不足から非常事態宣言が出され、景気後退懸念から南アフリカランドが下落基調となったほか、株価も軟調な展開が続いていました。6月には電力危機解消に向けて中国に支援を要請する方針が示されたことが好感され反転上昇する局面もありましたが、足元は概ねボックス圏での動きとなっています。
■ セクター(業種)の動き
中国の原油需要の増加を見込み、中国の大手エネルギー銘柄を中心にエネルギーセクターが堅調であったほか、韓国や台湾の半導体、電子部品などの銘柄を中心に情報技術セクターも上昇し、これら2業種が上昇率上位となっています。一方、公益事業セクター、一般消費財・サービスセクター及びヘルスケアセクターは、いずれも中国の銘柄の下落が目立ちました。
■ 商品市況の動き
新興国の中には、資源国も多く商品市況には注意が必要です。新興国株式市場に加えて原油及び銅の過去10年の価格の推移について大きな流れを見ておきます。
2020年のコロナショックによる下落を経て、原油や銅の価格は上昇基調となりました。その後、2022年に入り、米国の政策金利が引き上げられる中で景気減速懸念から下落しました。銅は昨年後半に反転上昇となりましたが、上値の重い展開となっています。原油は軟調な展開が継続していましたが、2023年7月以降は主要産油国の減産継続などを背景に反転しています。
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