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2023年9月の新興国株式市場と今後の見通し
2023/10/06

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概要

9月の新興国株式市場(現地通貨ベース)は月間で下落となりました。主要国別の市場動向、今後の見通しについてご紹介いたします。
※記載内容はすべて海外市場の月末1営業日前ベースでのコメントになります。



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2023年9月の新興国株式市場

新興国株式市場は月初から月半ばにかけて、中国の住宅ローン規制緩和などをはじめとする景気刺激策への期待や、経済安定化の兆しを示唆する経済指標の発表などを受けて上昇する局面もありましたが、米長期金利の上昇などが重荷となり、一進一退の展開となりました。月後半にかけては、米金融当局が政策金利の据え置きを決定したものの、依然としてタカ派姿勢を維持し、金利は長期にわたって高水準が続くとの警戒感が高まったことなどが、新興国株式を含むリスク資産にとって逆風となりました。また、中国の不動産業界における信用問題の再燃や景気先行き不透明感などもマイナス材料となり、月間でも下落となりました。

主要国別、セクター別の動き(現地通貨ベース)

国別(現地通貨ベース)では、インドは、小幅な上昇となりました。8月31日に発表された2023年4-6月期の国内総生産(GDP)は前年同期比7.8%増と市場予想を上回る高成長となり、特に内需の堅調さが示されました。セクター別では主力のITサービスを中心とした情報技術や、電力需要の増加などを背景に公益事業も上昇しました。ブラジルは、原油価格の上昇を背景にエネルギーセクターの銘柄が上昇したものの、全体では相対的に小幅ながら下落となりました。台湾は、米ハイテク銘柄の株価下落などの流れを受けて、主力の情報技術セクターの銘柄を中心に下落しました。韓国はバッテリー素材関連銘柄が大きく下落したほか、幅広いセクターで下落となりました。南アフリカは、金価格の下落などを受けた素材セクターの銘柄や、事前予想を下回る決算となった金融セクターの銘柄を中心に、下落となりました。中国は、景気刺激策への期待や景気底入れ期待などの一方、不動産業界における信用問題の再燃や根強い景気先行き不透明感などが重荷となり、相対的に大きく下落しました。

セクター別(現地通貨ベース)では、エネルギーが上昇したほか、公益事業も相対的に底堅い推移となりました。一方、一般消費財・サービス、コミュニケーション・サービス、素材などは相対的に下落率が大きくなりました。

今後の見通し

長期的には、新興国経済は、若い労働人口が豊富であることなどを背景に、中間所得層の持続的な拡大や構造変化に後押しされ、先進国を凌ぐ成長力を有しているとの見方には変更ありません。

新興国株式のバリュエーション(投資価値評価)は、先進国株式に比べて依然として魅力的な水準にあります。

中国については、景気は回復に向かいつつあるものの、そのペースは緩やかです。不動産セクターにおける問題は払しょくされておらず、今後も株式市場の値動きを不安定にさせるリスクの1つとなると懸念されます。また、こうした状況が、消費者心理を冷え込ませる可能性もあります。さらに、中国当局の政策動向や、米中関係などに不透明要素も多く残ります。しかし、こうした中でも、成長が期待できる企業は存在していると考えます。

さらに、アジアを中心に新興国は「デジタル化」や「テクノロジー」の分野をけん引する存在であるとともに、脱炭素など世界的な環境課題においても、CO2(二酸化炭素)排出削減などで重要な役割を担いつつあるとみており、これまで見過ごされてきた、あるいは新たな価値の発掘につながる可能性があると期待しています。

(※将来の市場環境の変動等により、上記の内容が変更される場合があります。)

 


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