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2023年10月の新興国株式市場と今後の見通し
2023/11/09

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概要

10月の新興国株式市場(現地通貨ベース)は月間で下落となりました。主要国別の市場動向、今後の見通しについてご紹介いたします。
※記載内容はすべて海外市場の月末1営業日前ベースでのコメントになります。



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2023年10月の新興国株式市場

新興国株式市場は月初、米金融当局者が再び利上げを行う可能性を示唆したことを受けて米長期金利が上昇したほか、中国経済に対する不安感が拭えないことなどから、低調なスタートとなりました。その後、複数の米金融当局者が、年内の追加利上げを見送るとの見方を後押ししたことで、米長期金利の上昇が一服したことや、中国の新たな景気刺激策への期待などを受けて上昇する局面もありました。しかし、月半ば以降は、中東情勢のさらなる緊迫化や、米長期金利が一時5%台に到達するなど再び急上昇したことなどから、投資家のリスク回避の動きが強まり、下落基調となりました。

主要国別、セクター別の動き(現地通貨ベース)

国別(現地通貨ベース)では、台湾は主力の情報技術セクターの銘柄は底堅く推移したものの、その他の銘柄が低調となり全体でも小幅ながら下落となりました。中国は、景気先行きに対する不安や不動産開発大手企業の経営危機などを受けて下落しました。ただし、月後半には財政出動などの景気刺激策や政府系ファンドによる買い支えなどにより、下げ幅が縮小しました。インドは、金融セクターを中心に下落しました。また、複数のITサービス企業から予想を下回る直近決算の発表や慎重な見通しが示されたことなどを受けて、情報技術セクターも下落しました。南アフリカは、金価格の上昇を背景に金鉱株は上昇したものの、その他の多くの銘柄が下落したことが響き、全体でも下落となりました。ブラジルは、主力の素材銘柄が、配当や自社株買いなどの株主還元策を発表したほか、中国の財政出動に伴い需要が拡大するとの期待などから上昇した一方で、その他の多くの銘柄は下落しました。韓国は、主力の情報技術セクターの銘柄のほか、前月に引き続きバッテリー素材関連銘柄、資本財・サービスセクターの銘柄などを中心に下落し、市場平均に比べて下落率は大きくなりました。

セクター別(現地通貨ベース)では、ヘルスケアは上昇となった一方、その他のセクターはすべて下落となりました。情報技術は相対的に小幅な下落にとどまったものの、資本財・サービス、不動産、素材などは相対的に大きく下落しました。

今後の見通し

長期的には、新興国経済は、若い労働人口が豊富であることなどを背景に、中間所得層の持続的な拡大や構造変化に後押しされ、先進国を凌ぐ成長力を有しているとの見方には変更ありません。

新興国株式のバリュエーション(投資価値評価)は、先進国株式に比べて依然として魅力的な水準にあります。

東南アジアについては、アジアにおける製造拠点の分散化の流れなどから恩恵を受けると予想されます。

南米では、メキシコは、米企業などの「ニアショアリング(事業拠点の近隣移転)」として恩恵を受けると期待されます。また、ブラジルは依然として政策金利は高水準ですが、利下げに転換しています。

中国は、不動産セクターや株式市場の下支えなどの景気刺激策を打ち出しています。引き続き、魅力的な投資分野は存在していることに加えて、予想以上に企業業績が堅調に推移していることなどは、明るい材料です。しかし、先行き不透明感が残り、株価は不安定な動きが続くことも懸念されます。こうしたことから、当局が打ち出す政策が、実体経済に効果をもたらすかを注視しつつ、分散投資を徹底していくことが重要であると考えます。

一方、インドについては、足元の景気動向についても概ね良好で、長期的にも相対的に高い経済成長が期待できるとみています。しかし、バリュエーションは相対的に高水準で、銘柄選別が重要になると考えます。

(※将来の市場環境の変動等により、上記の内容が変更される場合があります。)


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