- Article Title
- 2023年12月の新興国株式市場と今後の見通し
12月の新興国株式市場(現地通貨ベース)は月間で上昇となりました。主要国別の市場動向、今後の見通しについてご紹介いたします。
※記載内容はすべて海外市場の月末1営業日前ベースでのコメントになります。
2023年12月の新興国株式市場
新興国株式市場は月初、米連邦公開市場委員会(FOMC)を控え、また、中国経済の健全性を巡る懸念などから一進一退の展開となりました。月半ば以降は、米FOMCにおいて3会合連続で政策金利の据え置きが決定されたことに加えて、2024年には複数回にわたる利下げ見通しが示されたことなどから、上昇に転じました。月後半にかけても、米長期金利が低下基調となったことなどがリスク資産に対する追い風となり、新興国株式市場は、前月末比で上昇となりました。
主要国別、セクター別の動き(現地通貨ベース)
国別(現地通貨ベース)では、インドは、相対的に大きく上昇しました。地方選挙で与党インド人民党(BJP)が躍進したことで、2024年に実施される下院総選挙で与党が勝利し、現政権が継続するとの見方が強まったことが安心材料となったほか、良好な景気動向も好感されました。韓国と台湾は、米ハイテク株高などを受けて、主力の情報技術セクターの銘柄を中心に上昇しました。ブラジルは、世界的なリスク・オンの流れに加えて、ブラジル中銀が利下げを決定し、今後も利下げを継続する姿勢を示したことなどが好感され、上昇しました。南アフリカは、素材や金融セクターを中心に上昇しました。一方、中国は、下落となりました。中央経済工作会議で大規模な財政出動が発表されず、投資家の失望を誘ったほか、当局がオンラインゲームに対する新たな規制を打ち出したことを受けて、コミュニケーション・サービスセクターの銘柄が大きく下落しました。
セクター別(現地通貨ベース)では、公益事業の上昇率が相対的に大きかったほか、資本財・サービスや情報技術なども上昇しました。一方、コミュニケーション・サービスは下落しました。
今後の見通し
長期的には、新興国経済は、若い労働人口が豊富であることなどを背景に、中間所得層の持続的な拡大や構造変化に後押しされ、先進国を凌ぐ成長力を有しているとの見方には変更ありません。
新興国株式のバリュエーション(投資価値評価)は、先進国株式に比べて依然として魅力的な水準にあります。
東南アジアについては、アジアにおける製造拠点の分散化の流れなどから恩恵を受けると予想されます。また、これまでの利上げにより政策金利が高水準にあるインドネシアなどでは、利下げ転換の可能性もあるとみています。
南米では、メキシコは、米企業などの「ニアショアリング(事業拠点の近隣移転)」先として恩恵を受けると期待されます。また、ブラジルは依然として政策金利は高水準ですが、利下げに転換しています。
2024年の新興国における政治イベントでは、1月の台湾総統選挙を皮切りに、韓国、インドなどで総選挙が実施される予定です。こうした政治イベントの動向を受けて、株式市場の値動きは大きくなる可能性もあり、注視が必要と考えます。
また、注目が集まっているAI(人工知能)の進展は、情報技術セクターの株価にプラス材料となりますが、特に台湾がその恩恵を受けるとみています。世界経済の減速懸念が高まる一方、インドについては、足元の景気動向についても概ね良好で、長期的にも相対的に高い経済成長が期待できるとみています。しかし、バリュエーションは相対的に高水準で、銘柄選別が重要になると考えます。
中国は、不動産セクターや株式市場の下支えなどの景気刺激策を打ち出しています。引き続き、魅力的な投資分野は存在していることに加えて、予想以上に企業業績が堅調に推移していることなどは、明るい材料です。しかし、先行き不透明感が残り、株価は不安定な動きが続くことも懸念されます。こうしたことから、当局が打ち出す政策が、実体経済に効果をもたらすかを注視しつつ、分散投資を徹底していくことが重要であると考えます。
(※将来の市場環境の変動等により、上記の内容が変更される場合があります。)
当資料をご利用にあたっての注意事項等
●当資料はピクテ・グループの海外拠点からの情報提供に基づき、ピクテ・ジャパン株式会社が翻訳・編集し、作成した資料であり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。
●当資料に記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当資料中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の保護の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりません。
●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。
手数料およびリスクについてはこちら
MSCI指数は、MSCIが開発した指数です。同指数に対する著作権、知的所有権その他一切の権利はMSCIに帰属します。またMSCIは、同指数の内容を変更する権利および公表を停止する権利を有しています。