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- 2024年の新興国株式市場の見通し
ピクテの新興国株式運用チームによる、2024年の新興国株式市場の見通しをご紹介いたします。
ピクテは、新興国市場に前向きであり、中期的に新興国の成長率が先進国の成長率を上回る、という基本シナリオを変えていません。新興国株式市場は、予想利益ベースの株価収益率(PER)が約11.6倍と先進国株式のPERを30%程度下回っており、バリュエーション(投資価値評価)面での投資妙味が強いように思われます。また、インフレ圧力が後退し、新興国の中央銀行の多くが、すでに金融緩和に転じ始めていることも追い風です。
◆ラテンアメリカ
ラテンアメリカ域内のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)は、損なわれていません。ブラジルやチリ等ですでに利下げが始まり、バリュエーションが魅力的な水準にあることに加え、2024年に向けて、好調な輸出が経済を支えています。金融緩和局面の始まり、税制改革を通じた企業リスクの後退、足元の株式市場の調整等は、一部のセクターに投資妙味が現れ始め、買いの好機が訪れつつあることを示唆しています。
◆メキシコ
メキシコは、「ニアショアリング(事業拠点の近隣移転)」の恩恵を最も大きく享受し、多くの企業が高成長を実現していますが、こうした傾向は2024年以降も続くことが予想されます。米国では経済が底堅く推移し、利下げは2024年後半まで行われない可能性があることから、金利の高止まりが長期化することの恩恵を受ける企業には投資妙味があるものと考えますが、基本シナリオでは米国のリセッション(景気後退)入りを想定せず、消費関連銘柄も有望だと見ています。
◆東南アジア諸国連合(ASEAN)など
東南アジア諸国連合(ASEAN)、とりわけ、インドネシアおよびベトナムについても、強気の見方を維持しています。インドネシアは段階的な利上げを継続しているものの、2024年には利下げに転じることが予想され、景気の回復に伴い、投資の好機が提供されるものと見ています。通貨については、足元、短期的な下落局面も見られたものの、もう一段の減価のリスクは後退しつつあります。ベトナムは、市場規模は小さいものの、長期的な成長の可能性と、製造拠点が中国から他地域へ移転する動きの恩恵を受けています。
2024年は政治日程が立て込んでおり、台湾、韓国、メキシコ、インドなど、多くの新興国で選挙が予定されていることから、投票日が近づくに連れて、市場のボラティリティ(変動率)やリスクが増す可能性があるかもしれません。また、11月には米国大統領選が行われることから、地政学リスクと市場の不確実性がさらに高まる状況も予想されます。政治以外では、人工知能(AI)関連テーマが定着し、台湾を中心にハイテク・セクターの起爆剤となることが予想され、AIの継続的な進歩がメモリー需要の伸びを牽引するものと考えます。
◆インド
インドは、世界のマクロ環境から隔離されており、世界で起こる出来事との相関が相対的に低い市場です。現時点では、バリュエーションが著しく高いことが難点ですが、経済の高成長の見通しは魅力的であり、金融セクターを中心に、投資の機会も散見されます。
◆アラブ首長国連邦(UAE)
アラブ首長国連邦(UAE)については、注目しているドバイの不動産セクターは長期的な見通しは変わらないものの、中東紛争を巡る不確実性や紛争拡大のリスクを勘案して、中東地域全体に慎重な姿勢を強めることとしました。
◆中国
中国は、2024年の市場を大きく左右し得る要因になると考えます。外国人持ち株比率は低位に留まるものの、バリュエーションは魅力的な水準にあり、足元発表の経済指標の一部には事前予想を上回るものも散見されることから、市場の一部には、投資を検討する価値が現れ始めていると考えます。
これまでのところ、(1軒目および2軒目の住宅購入時における規制の緩和、住宅ローン金利や頭金比率の引き下げ等)住宅市場の支援策として、小型の景気刺激策が発表されています。
「バズーカ砲」規模の大型対策による後押しには欠けるとしても、小型策が多数、講じられるならば、その複合効果が徐々に国内経済に浸透する「トリクルダウン」効果が現れて、2024年中にも、経済に影響を与え始める可能性があるかもしれません。政策が経済活動の活性化につながる機会を注視しています。消費関連銘柄では、低価格帯の商品関連銘柄が、年初来、堅調に推移していますが、ピクテの予想通り、消費の回復が継続すれば、こうした動きが中・高価格帯の商品にも波及する可能性があると考えます。国内旅行や海外旅行など、観光業も回復し始めたばかりで、消費セクター同様、2024年以降も回復基調が続くものと見ています。
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