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- グローバル株式市場の振り返り(2023年12月)― ファクターとセクターの観点から
12月のグローバル株式市場をファクターとセクターの観点から振り返ります。
■ ファクター
世界の株式市場は、11月の米雇用統計が労働市場の底堅さを示し、米国経済のソフトランディングに対する期待が高まったことに加え、ドイツの製造業関連の経済指標悪化や欧州中央銀行(ECB)高官の発言などを受けてユーロ圏の早期の利下げ転換観測が高まったことなどから、上旬から上昇する展開となりました。中旬以降も、米連邦公開市場委員会(FOMC)後にパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が追加利上げの可能性が低いことを示したことなどを受けて世界の株式市場は上昇基調を維持し、月間でも上昇となりました。
こうした中で、セクター内でバリュエーションの低い銘柄からなるエンハンスト・バリュー、テクノロジー関連の優良銘柄の多いクオリティが比較的大きく上昇した一方、株価の変動の比較的小さい銘柄の多い低ボラティリティー、これまでパフォーマンスのよかった銘柄からなるモメンタムが相対的に小幅な上昇にとどまりました。
過去1年では、クオリティ、エンハンスト・バリューが堅調だった一方で、低ボラティリティー、均等配分が苦戦しました。
また、12月は小型株が大型株より優勢となり、バリューがグロースより優勢でした。過去1年では大型株、グロースが相対的に優勢でした。
■ セクター
12月は米国の長期金利が低下したことを受けて不動産が大きく上昇したほか、資本財・サービスや素材など景気に敏感なセクターも比較的大きな上昇となりました。一方、原油価格の軟調な展開を受けてエネルギーが低調になったほか、生活必需品などの上昇が比較的小幅にとどまりました。
過去1年では、情報技術、コミュニケーション・サービスが大きく上昇しました。一方、公益事業、生活必需品が苦戦しました。
ファクターとは
ファクターとは、株式や債券など資産や個別銘柄のリターンを過去、長期にわたり生み出してきたとされるリターンの源泉です。リターンやリスクの要因を説明する共通の要因(特性)のことです。ここでは、以下の主なファクターを獲得するように作られたMSCIの各指数を用いて分析しています。
均等配分:グローバル株価指数(時価総額基準)の採用銘柄を均等配分で投資した場合のパフォーマンスを示します。小型株の構成比が時価総額基準の指数に比べて高くなる傾向にあります。
モメンタム:過去6ヵ月、12ヵ月など過去において、パフォーマンスのよかった銘柄。(使用している指数では、構成銘柄は通常年2回のペースで見直されます。)
エンハンスト・バリュー:各セクターの中で、利益、資産、キャッシュフローの観点で株価が割安な銘柄。
高配当:相対的に配当利回りの高い銘柄。
クオリティ:利益率、財務体質、業績の安定性の点で優れている銘柄。
低ボラティリティー:ポートフォリオのリスクを最小化することを目的に最適化した銘柄からなるもので、株価のボラティリティー(変動)やベータ等の低い銘柄が多い。
大型株、小型株:時価総額が相対的に大きい銘柄、小さい銘柄。
グロース:業績の成長性の高い銘柄。
バリュー:株価の割安な銘柄。
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