- Article Title
- 地球に負荷をかける - 企業が生物多様性に及ぼす影響の測定-
投資家は、もはや、生物多様性の損失がもたらす壊滅的な経済的影響を無視する余裕はなく、リスクを抑制するために、より良いツールが必要なのです。ミストラ・フィンバイオ(MISTRA FinBio)・プログラムの科学者達が取り組んでいる研究は、その一助となるものです。
世界には、自然資本をこれ以上、失う余裕はありません。
薬の開発に必要な植物であれ、農業に不可欠な昆虫による花粉媒介であれ、自然資源に大きく依存する企業は、資本コストの上昇リスクに直面しているということです。
したがって、生物多様性の損失が投資家のポートフォリオに与える影響を測定することは、投資家にとって極めて重要なのです。しかし、それは複雑な作業であり、投資リターンに影響を及ぼす可能性のある、こうしたリスクを評価・監視するために現在、利用可能なツールは十分に開発されているとは言えません。
「企業や投資家は、生物多様性の損失をリスク要因として無視するわけにはいきません。生物多様性の損失は、企業の事業活動や投資家の資本配分に影響を与える、すでに重要な財務変数なのです。」
ピクテ・アセット・マネジメント(以下、ピクテ)が(スウェーデン戦略環境研究財団(MISTRA)の資金提供を受けて設立された)「生物多様性の再生のためのミストラ・ファイナンス・フィンバイオ・リサーチ・プログラム」の研究員が行った、新しい研究を紹介します。この研究チームは、生物多様性の損失測定ツールの原型(プロトタイプ)、「地球システムインパクト(ESI)モデル」を開発しました。
まだ開発途上ではあるものの、このモデルは、企業や業界独自の情報開示を分析する以上に、包括的な調査結果を明らかにすることができます。
例えば、このモデルを鉱業セクターに適用したところ、分析対象とした鉱山の半数について、炭素排出量が環境に及ぼす負荷の主な原因であり、また、鉱山の約40%については、土地の破壊が環境への負荷の主な原因であることが明らかになりました。
さらに、ピクテが独自に開発した生物多様性インパクト・モデルを紹介し、ESIツールから得られる知見を投資フレームワークのさらなる強化に活用する方法についても説明いたします。
◇概要
・金融市場は、既に生物多様性リスクを織り込みつあり、生態系に大きく依存している企業は、株価のバリュエーション(投資価値評価)の低下と、資本コスト上昇のリスクに直面しています。
・既存の生物多様性への影響度測定方法は、未だ、開発段階に留まっています。ピクテでは「地球システム・インパクト(ESI)モデル」が地球の健康に不可欠な、生物圏と大気圏との相互作用を考慮することで、新たな境地を開くと考えています。
・ESIツールは既に、投資家が標準的な企業の情報開示から得る以上に、包括的な調査結果を明らかにしています。企業や投資家はESIモデルを利用して、環境的に問題のあるサイトや投資先を特定し、生物多様性への影響を長期的に削減する目標を設定することができます。
ピクテとフィンバイオ(FinBio)
ピクテは、生物多様性の再生のためのミストラ・フィンバイオ・プログラムの「インパクト・パートナー」として、世界の資産運用業界を代表しています。フィンバイオ・プロジェクトは、自然資本を保護し、生物多様性の喪失を阻止するための戦略の開発に取り組む金融業界を支援するために設計されました。
当プロジェクトは、研究資金として、(戦略環境研究のためのスウェーデンの財団)「ミストラ(MISTRA)」から約500万ユーロを受け取り、ストックホルム大学のストックホルム・レジリエンス・センター(SRC)の監督下で活動を行っています。
ピクテは、サステナブル・ファイナンス分野での「革新的な思考」に基づく活動の実績が認められ、メンバーとして選ばれた、フィンバイオ・プログラムの唯一の資産運用会社です。インパクト・パートナーとしてのピクテの役割は、投資の専門知識を提供すると同時に、自然に配慮する「ネイチャー・ポジティブ」な変化を金融システムにもたらすための学際的な研究に貢献することです。
詳しくは以下をご覧ください。
当資料をご利用にあたっての注意事項等
●当資料はピクテ・グループの海外拠点からの情報提供に基づき、ピクテ・ジャパン株式会社が翻訳・編集し、作成した資料であり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。
●当資料に記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当資料中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の保護の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりません。
●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。
手数料およびリスクについてはこちら
個別の銘柄・企業については、あくまでも参考であり、その銘柄・企業の売買を推奨するものではありません。