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中国債券市場の振り返りと見通し(2024年2月)
2024/03/22

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概要

2024年2月の中国債券市場の振り返りと今後の展望について、ピクテの新興国債券投資チームがまとめました。



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市場概況

2024年2月の金融市場では、株式などのリスク資産にとって好調な地合いが続きました。世界の経済指標も概ね堅調で、米国の1月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比35.3万人増と事前予想を大幅に上回ったことに加えて、前月(2023年12月)および前々月(同11月)の速報値が上方修正されました。

また、同じく1月のISM製造業景況指数が15ヶ月ぶりの水準を回復する中、米消費者物価指数(CPI)は、前月比+0.4%と事前予想を上回り、年内の積極的な利下げ観測が後退しました。

2024年2月月初の中国株式市場は、期待されていた政府系機関やファンドによる市場救済策が実行されなかったことから軟調に推移したものの、その後は主に国内投資家の買いを支えに回復に転じました。

中国人民銀行(中央銀行)は追加の金融緩和策を講じ、(住宅ローン金利の指標である)5年物最優遇貸出金利(LPR)を市場の予想を上回る25ベーシスポイント(0.25%)引き下げました。一方、1年物は据え置きとなりました。

オンショア債券市場では、2023年12月以降、堅調な展開が続いており、5年債利回りは月間6ベーシスポイント(0.06%)低下して、2.22%前後で2月末を迎えました。2月第3週は、旧正月(春節)の祭日のため休場となりました。

ブルームバーグ中国総合債券指数(ヘッジなし、人民元ベース)の2月のリターンは+0.72%となりました。人民元が、米ドル、ユーロの双方に対して僅かに下落したことから、ヘッジなし指数のリターンはユーロと米ドルベースでは小幅な下落となりました。ヘッジなし、ユーロ・ベースの年初来リターンは+1%弱と、プラス圏に留まっています。


市場展望

中国経済の先行きについては、慎重ながら楽観的な見方を変えていません。GDP(国内総生産)成長率は、構造要因に起因して低下基調を辿っており、かつての1桁台後半あるいは2桁台の高成長から、中期的には年率5%前後に低下するものと思われます。中国政府は3月月初開催の全国人民代表大会で、GDP成長率の目標を事前予想通りの+5%、また、インフレ目標を+3%に設定したことを発表しました。2024年のGDP成長は、消費のもう一段の回復と当局の金融緩和策が下支えになると思われます。雇用市場も改善基調にあり、失業率はコロナ前の水準に低下しています。コロナ前の水準には届かないものの、家計の所得にも改善が見られ消費の回復は今後も続くと考えます。

国債市場は、少なくとも年前半は利回りに下押し圧力がかかるものと思われ、年内の安定推移が見込まれます。財政および金融政策については、積極策は導入されないとしても、拡大基調が維持されると考えます。

人民元は2023年末にかけて米ドル安を一因に上昇基調となり、2024年入り後も安定推移しています。米ドル高局面はほぼ終了したものと思われることから、中期的には対米ドルで人民元高が見込まれ、米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ開始が迫れば、米ドルの下げが加速すると考えます。

国内社債のスプレッドは縮小基調を維持しているものの、短期的には行き過ぎの水準にあるように思われます。



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