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中国債券市場の振り返りと見通し(2024年3月)
2024/04/16

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概要

2024年3月の中国債券市場の振り返りと今後の展望について、ピクテの新興国債券投資チームがまとめました。



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市場概況

2024年3月は複数の主要株価指数が史上最高値を更新し、株式市場にとっては好調な四半期(2024年1-3月期)となりました。一方、国債市場は苦戦を強いられました。米国では、消費者物価指数(CPI)が1月、2月分ともに前月比+0.4%と根強いインフレを示唆し、国内経済の底堅さが確認されたことから、米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げの回数が、従来予想よりも減るとの見方が市場に織り込まれました。3月末時点の市場に織り込まれた利下げの回数は、7月末までに1回、年末までに2.5回となっています。

一方、中国では足元発表の経済指標が総じて好調です。3月の購買担当者景気指数(PMI)は、事前予想に反して、製造業指数、非製造業指数ともに大きく上昇し、目先の景気回復の勢い(モメンタム)に弾みが付いていることを示唆しました。国家統計局(NBS)が発表した3月の製造業PMIは、前月比+1.7ポイントの50.8と、コロナ禍の都市封鎖が解除された2023年1-3月期以降の最高水準を記録しました。また、非製造業PMIも、前月比+1.6ポイントの53と9ヶ月ぶりの水準に上昇しました。

国内債券市場は、底堅い経済指標を受けた市場心理の改善にもかかわらず、短期債を中心に上昇基調を維持し、2年債利回りは1.9%近辺と、2月末の水準を約12ベーシス・ポイント(0.12%)下回りました。一方、中長期債はレンジ内での推移となりました。社債市場ではスプレッドの縮小が続き、ブルームバーグ中国総合債券指数(ヘッジなし、人民元ベース)の3月のリターンは、2月に続いてプラス圏に留まりました。


市場展望

足元発表の中国の経済指標は、年初の時期に景気回復の勢い(モメンタム)が強まったことを示唆しています。GDP(国内総生産)成長率については、通年ベースでは政府目標の+5%を達成する、或いは、これを上回る公算が大きく、中国人民銀行(中央銀行)によるもう一段の利下げは、当面期待出来そうにありません。もっとも、短期資金の調達については緩和的な条件は変わらないと考えます。

国債市場については、利回り曲線(イールドカーブ)の小幅のスティープ化を伴った安定推移が見込まれます。財政および金融政策は、積極策の導入は見込まれないものの、拡大基調が維持されると考えるためです。

利回りが低水準で推移しているため、人民元はアジア域内の資金調達通貨として選好されており、米ドルに対して短期的に下落する可能性がある一方で、人民元売りのポジションは既に積み上がっています。中長期の観点では、対米ドルで人民元高が見込まれますが、これは、米ドルが既にピークを付けたとみているためです。米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げの開始時期が迫れば、米ドルの下げは加速すると考えます。


国内社債のスプレッドは縮小基調を維持しているものの、もう一段の縮小の可能性は限られるとみています。


 


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